人生という名のパズル

勝利だギューちゃん

第1話

「ねえ・・・」

「・・・・」

「泣いてるの?」

「・・・・」

「何が悲しいの?」

「・・・・」

「教えて・・・」


人生とは、1枚のジグソーパズルを作るような物・・・

但し、ピースは自分で集めなければならない・・・

そして、そのピースには、名前がある。


どのような、完成品になるのかは、往生の時までわからない。


ピースというからには、合わないピースも出てくる。

その時は、そのピースを捨てて、新しいピースを探す。


巨大なパズルなので、ひとりで全てのピースを集めるのは、不可能に近い。

そのために、他者の力を借りることとなる・・・


でも、途中で嫌になり、パズルを投げ出す者も出てくる。


せめて、人生と言う名のパズルは、完成させてから、旅立ちたい。

パズルが出来上がった時、どんな絵が完成されているのか、とても楽しみだ・・・


今日も、2枚のピースを拾った・・・

でも、今の僕のパズルには、合わなかったようだ・・・


仕方なしに、その2枚のピースを捨てようとした・・・

もし、必要になれば、また見つけよう・・・


「そのピース、捨てちゃだめ」

「えっ」

「閉まっておいて、すぐに必要となるから・・・」

声のする方を見ると、見知った女の子がいた。


クラスメイトの、薺春奈(なずな はるな)さんだ。

「薺さん?」

「捨てないで、早く閉まって、鈴白くん」

「・・・わ・・・わかったよ・・・」

薺さんの声に圧倒されて、僕はピースを閉まった。


「これで、一安心だわ」

「なぜわかるの?僕に必要だって・・・」

「鈴白くんは、いつもひとりでいるよね」

「うん」

当たり前だけど、その事はすぐにわかる。

でも、それを本人に言うことは、ある意味残酷だ。


「鈴白くんは、どうして1人でいるの?」

「それは、みんなが良く知ってるんじゃ」

「鈴白くんの、思っている事は、外れてるわ」

どう違うと言うのだ・・・


「鈴白くんは、ひとりでいることに、慣れてしまってる。

それが、当たり前だと思っている」

「その通りだよ・・・」

「でもね・・・それはNOなんだよ」

「えっ」

薺さんの、発言に驚く・・・


「鈴白くんは、何で泣いているの?

何が悲しいの?

教えてくれる?」

「それは・・・」

「人が怖い・・・からだよね?」

ほぼ正解だった。でも、どうしようもない・・・


「でもね、人が怖い人は、誰よりも。人に好かれたい願望が強いの。

だから、君は、人一倍、人を求めているの?」

「求めている」

「心配しなくても、君にはたくさんの味方が、これから増えて行く。

さっきのピースは、その時に必要となるもの・・・

だから、捨てないで・・・」


彼女の発言に、僕は従う事が出来なかった。


「鈴白くん」

「何?」

「その2枚のうちの、ひとつは、今すぐ必要となるわ・・・

パズルにつなげて・・

後一枚は、もう少し先かな・・・」

「それで、このピースの名前はわかるの?」

「知りたい?」

「教えてあげるね」

薺さんの言葉を待つ。


「すぐに使うのは「出会い」、残る一つは「結婚」よ」



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人生という名のパズル 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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