第一章 そのフィルター越しに嘘を見る

独白

僕は、フィルター越しに世界を見ることが好きでした。


嘘も真実も何もかもフィルター越しに見てしまえば、とてもきれいなものに見えたから。

死も生も一番きれいなまま切り取れるから。


それがすこしだけ、異常だということはわかっていました。

僕自身が一番理解していたことです。

他の誰よりも、僕自身が理解していました。


それでも、僕はこのフィルター越しの世界に憑りつかれてしまっていた。

美しくて、鬱くしくて。

より多くの世界を、フィルターに映したくて。


僕の肩書は、写真の天才。


こんな肩書が欲しいわけではなかった。


僕は普通に、凡人になりたかった。


趣味でとどめて、僕の人生にこの肩書は邪魔でしかない。


そう思っていたから。




―― あぁ、でも。失ってしまうととても。とてもほしくなるものだ。

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アポカリプスの解答者 @moti1__8

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