第7話 霊が見えない人
これは、私が大学3年生のときのお話です。
友人の1人が、車を買うことになり、みんなで、冷やかしついでに、車屋さんに付いて行きました。
その車屋さんは、学生さんに優しくお買い求めやすい価格でした。
今回、購入に至った友人は、大学2年間ずっと原付でガマンしていて、3つのアルバイトを掛け持ちして、車を買うために貯金をして、ようやく念願叶って、初の車!という記念すべき日だったのです。
友人の予算は150万円でした。
私たちで、「これいいんじゃない?」とか「これはお買い得かも?」などと言って、それなりに自分たちも楽しんでいました。
車屋さんの社長さんらしき人が友人とお話をしていたので、近寄ってみました。
「これね、新古車!っていうか殆ど新車で250万円のところ、230・・・いや、200万円でどう?」と社長さんが言った。
「200万円かぁ・・・」と友人は首を傾げた。
「他のにします」・・・そう言って、友人は他の車の物色を始めた。
みんなで友人の車を選んでいると、社長さんが再び、友人に交渉を持ちかけてきた。
「180万円でどう?」・・・社長さんが言う。
「いや~ちょっと無理」・・・友人が言った。
「ぐぬぬぬっ!」・・・社長の顔が真っ赤になっていた。
「予算内で買えるやつにします」・・・友人が言った。
「予算って、いくらなの?」・・・社長さんが言う。
「150万円です」・・・友人が言った。
「・・・・・・・・・」社長さんは黙ってしまった。
そして、無言のまま事務所へ戻って行った(笑)
まぁ、普通はそうなるよね・・・。
結局、1時間以上、あ~でもない、こ~でもないと友人と論議をかもし出しながら、どの車にするか決めかねていた。
そして、三度(みたび)社長さん登場(笑)
「ひゃ、150万円でいいよ」・・・社長さんが言った。
「買った!」・・・友人は即答した。
「毎度!」社長さんはそう言って事務所へ契約書を取りに行った。
私たちは、友人に駆け寄り、すぐさま言った「やめたほうが良くない?」と。
走行距離15km・・・新車で250万円する車を新古車とはいえ、100万円引きは、”かなり怪しい”よ、と・・・。
「間違いなく事故車だよ」と友人に告げたが、友人の耳には届かず「事故車でも問題ない!新車同様の車だから、全く無問題!!」そう言った。
それでも、私たちは、その車が、”どうにも嫌な予感しかしない”ので、幾度となく、友人を止めた。
そして、友人の1人が車の下に潜ったあとき、”あるモノ”を発見した。
その友人が耳打ちしてきた・・・。
「これ、血じゃね?」・・・と。
私たちは一斉に思った・・・
「事故車って、そっちの意味なの!?(滝汗)」・・・と。
私たちも車の下を覗いてみた・・・。
確かに血のような感じがしたが、社長さんは、乾いた笑いをしながら・・・
「そんなの塗装に決まってるじゃないですか~~~!」と言う。
そして、友人の1人がまた何かに気付き、耳打ちをしてきた。
「この車、元々、赤じゃない!」・・・と。
私たちは思った・・・「赤く塗装をしたのは・・・まさか!???」と(恐怖)
元の色は、紺色だった。確かに、その車種には、当時、赤は無かったのだ。
友人の1人が車の後輪の内側にへばり付いてるものを見て、絶句した!
そして、それを購入しようとしている友人に見せた。
【肉片らしきもの】が付着していて、友人が「どうせ犬か猫のでしょ」と言って気にせず契約書にサインをして、現金150万円を即金で支払いを済ませた。
購入した友人が言った。
それじゃあ、納車したら連絡するんで、慣らしには付き合ってね、と。
その場に居た友人たちは、全員一致で「お断りします」と言った(汗)
「え~~~なんで~~~!?」と友人はぶー垂れたが、とてもじゃないが、そんな車に同乗など、出来るはずもない。
あの車には、間違いなく【憑いている】そう思ったからだ。
動物か人間かは分からないが、絶対に乗りたくないと思うのは正常な人間の判断であると確信した。
そして、2週間後のとある日の夜。
友達から連絡が来た。そして、私を迎えに来た!
当然、車購入に付き合った友人たちは”乗ってなかった”。
何も知らない別の友人たちがすでに、その車に乗車していた。
私は、躊躇した・・・すでにもう”何かが見えた”からだ。
後席のあたりに何か居る、そう感じた。
「早く乗れよ」友人が急かした。
覚悟を決めて、空いている助手席に座った。
運転席の友人は、上機嫌だ。
「慣らしって何KMくらいを言うの?」そんなことをみんなに聞いた。
後席に座っている友人の1人が言う。
「前の人のクセとか付いてると慣らしの意味ないけど、何km乗ってるの?」と。
運転席の友人は答える「15kmだよ」と。
「へ?」・・・と間抜けな声が聴こえた。
「じゅ、15km?え??」と・・・もう1回言った。
「まるで、新車じゃん!」・・・もう1人の後席の友人が言った。
「そうだよ~!」と運転席の友人は嬉しそうに言った。
「じゃあ、高かったろ?よくそんなお金用意出来たね」と後席の友人が言った。
「うんにゃ、150万円」運転席の友人が言った。
「ええっ!?うそでしょ?これ、中古でも200万円以上するでしょ?」と。
「ちょ、ヤバくない?走行距離15kmで、150万円って!(汗)」
普通は、そう思うのだが・・・運転手の友人には通じない(滝汗)
「大丈夫なんだろうね?」と後席の友人は不安そうに言った。
「人とか轢いてないだろうね?」と後席のもう1人も不安そうに言った。
「大丈夫だよ!幽霊なんて見えないよ!安心してよ!」と運転手が言う。
時間は、まだ夜中ではない普通の夜の時間帯だった。20時半頃だろうか?
この会話の時点では、まだ、発進はしていなかったのだ。
停車中の車内での雑談だった。
そして、車が発進して、わずか数分後の出来事だった!
信号待ちで停車したとき、私は思わず、ルームミラーを何気なしに見て・・・
「(´゚ω゚):;*.':;ブッ」と噴き出してしまった!
後席の2人も、ルームミラーを見たとき!ミラーと後席を2度見した!!
「ぎゃあああああ!!!」と言って、後席の2人はお互いにドアを開けて、道路に飛び出した!
ルームミラーの中には、女性が映っていたのだ。
しかし、後席の友人と友人の間には、誰も居ない。
でも、ミラーの中には、確かに居た!3人がそれを目撃している!!
運転手の友人は、ハザードを点滅させて、路肩に寄せて停車した。
「なんなの?」と言って、わけがわからないと言う顔をした。
私も助手席から降りて外に出た。
車内を見渡すが運転席の友人以外なにも見えない・・・が、何か居る、そんな気配がした。
車の外からルームミラーを見ても何も映っていない。
しかし、車の中で、見ると、女性が見える・・・メチャクチャ怖い(涙)
後席の2人は、怖くてもう乗れないことを運転手の友人に告げた。
「どうやって帰るの?」と友人が聞くと・・・
「歩いて帰ったほうがマシ」とだけ伝えて、その場をあとにした。
恐らく途中でタクシーを拾ってると思われるが?途中でその2人とは別れたので、最後まで歩いて帰ったかどうかは、不明です。
私も、歩いて帰る2人と一緒にいくことを、運転手の友人に告げた。
「自分には、何も見えないんだけどなぁ・・・」そんなことを言う友人。
結局、霊が見えない友人は、何ヶ月か何の実害もなく、その車に乗り続けたけど、友人が一切誰も同乗してくれないので(苦笑)、結果、売ることにしたそうです。
あとで、社長さんを問い詰めたところ、前の持ち主が購入してすぐ人身事故を起こしてたいたという事実を知りました。
その車が売れるまで、その車屋にも色々不吉なことが起きていた為、安くしてでも早く売りたかったと社長さんが言ってたそうです。
私は、霊が見えない人が、心底羨ましいです(;^_^A アセアセ・・・
本当にあった怖い話 黄昏の夜月(たそがれのナイトムーン) @night-moon-crisis
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。本当にあった怖い話の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ことば/彩霞
★47 エッセイ・ノンフィクション 完結済 105話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます