第3話

クレイラントの歴史が終わろうとしている。


否、終わらせられるのか。


この戦いは、僕の出身国であるクレイラントと現在所属しているチームの国であるレズィレアが起こしている。


700年前。当時のクレイラントは最強の国として知られていた。クレイラントの

始祖には神の血が流れているとされ、王族をはじめ国民にも〈ifBOX〉と呼ばれる特別な力が宿っていた。勘違いする者が多くいるが、全ての者が〈if BOX〉を持っていた訳では無い。持っていなくても『負』にはならない。平等に扱われる。


クレイラントは、決して閉鎖的な国では無かったが、他国の者と婚姻を結ぶ者は少なかった。有っても、平民や商人、そして下位の貴族で、王族にはそれまで一度も無かった。初めて、他国と婚姻を結んだのは、当時のクレイラントの第一王女で、その相手はレズィレアの太子だった。申込みは帝国からで、王女に婚約者は居なかったが、当時の王で王女の父であった王は、己の子に自分で選んだ者と結婚して、幸せになってほしいと考えていたので、断ろうとした。が、その前に太子が僅か従者を2名連れて、直接王女に婚姻の申込みをしに来たのだ。


はじめはあまり肯定的では無かった王女であったが、共に時間を過ごす内に、少しずつ太子に惹かれていった。


その3年後。王女が21歳、太子が24歳の時に二人は遂に、婚姻を結んだ。


太子は嫡子であったが、帝位継承権を放棄し、王女とクレイラントに残る選択をした。二人の間には3人の子が生まれ、幸せに暮らしたという。




これだけを見れば、とってもこれが始まりだとは思えないが、

変わったのは、王女が34歳の時、病に倒れ亡くなった後からだった。


反乱を起こしたのだ。理由は未だに分かっていないが、その反乱で国を半滅させ、殆どの王族が殺された。


反乱が終わった時、太子は既に姿を眩ませ、3人の子どももどうなったかはわからない。


何故、それが始まりなのか。


反乱の後、多くの者が国を出た。その者たちが子孫を残し、やがて、クレイラントの民と同じ力を持つ者が現れる様になった。


その力は様々な国に多くの影響を与えた。中で、最も影響を受けたのは、太子の出身国であるレズィレアだ。反乱を起こしたのが太子であることを殆どの者は知らない。その為、レズィレアに流れた者が一番多かったのだ。王女の婚姻者の居ただからと。


国民の殆どが力を持つようになった頃。レズィレアはかつてのクレイラントと同じような立場になった。


彼らは、それを失うのを恐れた。そして、クレイラントの者を排除し出した。国が1/5にまで縮んでも、クレイラントの者は畏れられていたし、国民も誇りを失ってはいなかった。


当然、彼らはレズィレアの攻撃に対抗する。


やがてそれは戦争になり、400年経った今日まで続いてきた。








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