2018-08-18

人それを「予習」と呼ぶ

頭「

「なんだっていうの……」

　女は立ち尽くす。

　ここまで来るのに電車に揺られて１時間、さらに駅から店まで２０分かかっている。

　売り場を巡り巡って数分。ようやくたどり着いたその場所で、女は１万円とかかれたパッケージを発見した。パッケージに描かれているのはかねてからどうしてもお迎えしたかった少女のあどけない笑顔だ。

　だがしかし待ってほしい。

　お迎えしたかった少女を前に立ち尽くす女は、しかし少女ではなく手に握られているスマホに視線を釘づけにされていた。

（これは……どういうことなの）

　目の前のパッケージと同じ少女が、スマホの中では７０００円と書かれているではないか。

　スマホで開いているのは少女を売っている会社の公式サイト。

　表示価格は「DL販売限定」。

　さらには「サマーキャンペーン実施中！　本日より表示価格より１０％OFF!」とまで書かれている。

　つまり。

（電車に乗ってここまで来たのも、駅まで歩いたのも、売り場探して歩き回ったのも全部無駄だったというの……！）

　パッケージの少女の微笑みを前に、女は立ち尽くすしかなかった。

」

手「次回！　【そもそも来る前にサイトチェックしてたらこんなことにならなかったんじゃないかなって思うんだ】」

頭「とどめさすのやめてやって」