最終話 末路
いくら泣いても悪魔くんを助けようとする人は誰もいません。この時はじめて自分のしたことを後悔しました。しかしもう遅いのです。本当にひとりぼっちになってしまったのです。
まるで時間が止まってしまったような、あるいは静かで星ひとつない真っ暗な夜の中にいるようでした。
「ごめんなさい……」
生まれてはじめて口にした言葉でした。本心から出た言葉でした。
パタパタパタ… パタパタパタ…
その時に天使ちゃんが空から美しい羽をはばたかせて現れました。
「あらあら、誰かと思ったらもしかして悪魔くん? ずいぶん変わっちゃったね、誰かと思っちゃった」
天使ちゃんはふわふわと空に漂っています。
「お前はもしかしてあの時の天使か? ケッ! 満足そうな顔しやがって、笑いたきゃ笑えよ」
涙を拭きながら悪魔くんは強がりを言いました。
「あはは、かっこわる~い」
天使ちゃんは本当に笑いました。
天使ちゃんに笑われて悪魔くんは号泣しました。どれくらい泣き続けたかわかりません。夜になり、朝になり、昼になり、そしてまた夜になり、こんな具合です。その様子を天使ちゃんはずっと見ていました。
「教えてくれ、オレはお前みたいになりたい! お前みたいに誰からも好かれたい!」
ひとりぼっちに耐えかねた悪魔くんは天使ちゃんにお願いしました。
「そんなの簡単よ、人が喜ぶことをたくさんすればいいんだから。」
天使ちゃんはさらりと答えました。
それからは悪魔くんは天使ちゃんを見習って人が喜ぶことをたくさんしました。来る日も来る日も良い事をしました。すると悪魔くんの体はだんだんと天使ちゃんのように美しい体に変化していきました。
そして悪魔くんは良い事をするのがこんなに楽しいものかと思うようになりました。そして人々は悪魔くんを天使ちゃんと呼んでくれるようになりました。
おわり
天使ちゃん、悪魔くん。 ぶらうにー @braveman912
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