とある王女の成長記録(アナプトグラム)

ラノベの王女様

「女装」「ショタ」「お漏らし」で三題噺

「うぅ……トイレトイレ……」

 文化祭の終了時刻と同時に、急ぎ足でトイレへと向かう。

 僕は咲村楓。身長は一五五センチと小柄だけど、これでも高校一年生だ。

 顔立ちが女の子っぽいこともあってか、今日の文化祭ではメイドのコスプレをさせられてしまった。そう、メイド喫茶だ。

 メイド服を着たときの周囲の反応は凄まじくて、「楓可愛いーっ!!」「ショタっ娘萌える!!」とか、もうクラス中が大騒ぎで盛り上がってた。正直恥ずかしい……。

 しかもこの衣装、スカートだからエアコンの風がスースーして足元が冷える!

 暑いからって水がぶ飲みしなきゃよかったっ……! お客さんの相手するのに忙しくて、文化祭の間は全然トイレ行く暇なかったし……。よく女の子は毎日スカートで登校できるなと感心してしまう。

「ああ……そろそろ限界が……いやいや! 我慢我慢!」

 そんな感じで尿意を思索でごまかしながら、何とか最寄りのトイレへと入るのだが……意外と混んでる!

 まだ終わったばかりだもんなぁ……今日は猛暑だったし、生徒に限らず一般の人も飲み過ぎてトイレ行きたくなるよねそりゃ……。

 待つべきか、他をあたるべきか。究極の決断に迫られていると……

「よっ、楓! お前その衣装のままここ来たのかよ!?」

「わ、鷲尾くん!?」

 クラスメイトの鷲尾くんが僕の前にいた。いたずら好きで、クラスのムードメーカーだ。

「いやー、楓のおかげで今日は助かったぜ! 何せ人気ランキング第一位獲得だしな!」

「そ、そうだね……」

 う、嬉しいけど今はそんなことより膀胱が!

「もう楓には頭が上がんねーよ! このこの! 可愛いじゃねーか!」

 そう言って鷲尾くんは僕の胸をまさぐってくる! ちょっと! そんなことされたら……

「わ、鷲尾くん! やめてやめて! やめ……」

 力が抜ける。暖かい液体が流れるのを感じる。僕の文化祭は終わった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

とある王女の成長記録(アナプトグラム) ラノベの王女様 @ranobe_no_oujosama

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る