ご縁がありこの物語に出会いました。読み終えましたので、レビューさせていただきます。
本作はプロローグによってライブ会場での一曲目からスタートします。私は音楽をやってきませんでしたが、読むだけで伝わってくる舞台での緊張感。そして冒頭から示される、『あいつはなんでいなくなったんだ?』という謎。一気に物語に引き込まれました。
そして始まったのが、そのバンドを結成する始まりからのお話。男子2人、女子2人で結成された4人の物語でした。
本作の魅力は青春ど真ん中の各エピソードです。人間関係や失敗等、とにかく綺麗なだけじゃない泥臭い彼らの生き様。彼らにはいくつも困難が立ちはだかりますが、それらを華麗に、そして時には不器用に乗り越えていく有様を楽しむことができます。これぞ青春ッ!
またメインとなるバンドで演奏する時の描写は圧巻の一言。経験のない私でも各用語や器材なんかがわかりやすく書いてあり、ライブの臨場感や曲の合間の間なんかが伝わってくる始末。「ああっ、バンドやってみたいっ!」なんて思ったりもしました。やるなら私はベースギターに興味あります(笑)
それらの全てを乗り越えて、そして居なくなってしまった一人のメンバー。その全ての伏線が回収されるラスト。読んでいて、もう盛り上がりしかありませんでしたッ! 最高にロックなラストが、あなたを待っておりますよッ!
音楽を愛した彼らの、そして作者様の青春物語。
他の皆さんも是非読んでみてください。
物語の構造に気づいた瞬間、呆然としました。
なんて素晴らしいセトリなのだろう、と。
群像劇という形で進んでいく中で、少年少女たちが悩んではぶつかって、時にはすれ違って。
章としての一曲一曲には意味があり、そこに含まれた思い出や決意は、ものすごい熱量でこちらを巻き込んできます。泣いたり、笑ったり、登場人物の想いが、何度も私の感情を揺さぶってくるのです。それはもう遠慮なく。まさに、伝説のライブ。
読了後の高揚感や余韻が心地よくて、しばらくぼーっとしてしまいました。忘れてしまっていたけれど、私にもこんなきらきらした時間があったな、と。
そのことを思い出させてくれたこの物語に、作者様に、感謝いたします。この気持ちを皆さんにも共有したく、レビューという形で残させていただきました。本当におすすめです。