12話
最終話
* * * * *
こうして、今に至る。
しかし、俺は未だに師匠が自殺をしたとは思っていない。
誰かがそう仕向けたんだ。
7年前の悪魔の言葉、それは今でも俺の脳裏に焼き付いている。
『伝説の剣士』 それはまだ、この街が作られ始めた頃の話。
7年前のように街中が火の海となった。
そんな時、一人の剣士が自分の剣を空高くあげた。
すると、なんということだろう。
火の海となっていた街は一瞬にして元通りになった。
悪魔たちも魔界に帰って行ったという。
そんな話が、この街には伝説として残っていた。
しかし、その剣は剣士が死亡した際に塵一つ残さずに消えていき、
その後、行方はわからなくなったと聞いた。
だが、まさか俺がその伝説の剣士だったなんて・・・。
だけど、好きな人を失った剣士はカッコがつかない。
それどころか、もうすぐ30になるしな。
未だに師匠のことを引きずって、結婚は出来ていない。恋人すらもいない。
「好きだったよ・・・千歳」
師匠が好きだったラベンダーを墓石にそっと置いて、俺はその場を去った。
叶わなかった俺の初恋は、結局、好きな奴に気持ちを伝えることが出来ないまま幕を閉じた。
伝説の剣士が死ぬ寸前まで持っていた剣は小さくなったナイフのまま、
剣士が死ぬと同時に、先代の剣士と同じ時のように塵一つ残らず消えていった。
こうして、街中を救った伝説の剣士は、ただの“人”となり、
12月25日、40歳という若さで、この世を去った。
クリスマス、それは・・・伝説の剣士が生涯愛していた女性の誕生日だった。
――――
“僕たち悪魔は君たちの油断した心に忍び寄り、
いつかまた、この安全区域の門を開ける”
~FIN~
伝説の剣士の物語 星空永遠 @hosizora1117
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