006  ワンダーランドⅥ

「まあ、行くところが無いからお前の所にいさせてもらえるか? この平次も一緒に……」

「はぁ? ふ、ふざけるな‼ なんでお前らみたいな子供を俺が……」

 ドンッ!

 何かが壊れる音がした。速人の左頬をかすり、後ろの壁に穴が開く。

「あ、これは……。ど、どうぞ。好きなだけいて下さい……」

「分かった? 私、怒らせるとこれ以上だから……」

「は、はい……」

 速人はやとは、涙目になりながら雰囲気の流れで返事をする。

 溜息をつきながら良子が目を伏せる。

「あんた、厄介な二人を連れてきたもんだね……」

「ババア、あんたどちらか一人いらない? 家賃代ということで……」

「いらないよ。それよりも三人分の家賃はもらうからね!」

 良子よしこははっきりとそう言った。速人は舌打ちをして、ふて腐れる。自分が蒔いた種は自分で処理しろと言っているのだ。巻き込まれたのなら仕方がない。一人よりか、三人の方が楽できるのかもしれない。

「分かったよ。おまえら、明日、ギルドに行くからな‼ そこのところ覚えておけよ!」

「分かっているね。後、私には咲夜さくやという名前があるのを忘れないでよ!」

「分かりました。よろしくお願いします。速人さん」

 二人とも返事を返した。ギルドに登録して仕事をもらえればいくらか稼げる。だが、速人にとっては働くのは嫌なのである。

 その日は三人一緒にこれから新居生活となる。二階の速人の家に上がった。部屋は三人それぞれの個室がある程度だ。

 ゲームの世界に閉じ込められて、数日もたたないうちに様々な出来事があった。だが、それは全プレイヤーが思っている。速人もその一人、昨夜も平次同じだ。

 今日の成果は、仲間が一人から三人。速人は服を着替えて寝間着の格好になり、そのまま敷いた布団の中に潜り込み、目をつぶった。

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