#2
銃のアイテム。これで宣伝しろだなんて、なんだか気味が悪い。
「あれ、遼は銃なんだ」
「…立花は違うの?」
「うん、私はナイフみたいなやつだった」
どこか引っ掛かりを覚える。宣伝するのになぜ銃とナイフなのだろう。
ぼんやりと画面を眺めながら考えていると突然ゲームの画面が黒くなり、VLのキャラクターが画面端から中央へ歩いてきた。これもイベントなのか?
「やあ!ボクはウサタロー!キミ達がVLの宣伝担当に選ばれた
俺たちに向けて喋っている?
いや、公式が俺たちの為にわざわざ作ったのか?
「今から大事な話をするから、周りに人がいないトコロに移動してほしいぴょん!」
言われるがままに教室を出て人通りが少ない階段裏へと移動する。
何か様子がおかしい。いくら何でも公式がこんなことするだろうか?
疑う俺をよそに立花は爛々と瞳を輝かせて画面にくぎ付けになっている。
「さっきアイテムが渡されたよね!ボクがウイルスをVL内に送り込むから、キミ達はそのアイテムを使って倒してほしいぴょん。あ、安心してね、内部が送るウイルスだから個人情報などはキチント保護してあるぴょん!」
うさぎが言うには、俺たちが公式のセキュリティ役となってウイルスを退治し、VLのセキュリティの安全さを証明してほしいとのことだった。内容は筋が通っているし、怪しいと思ったのは俺の思い込みだったようだ。
「にしても、拳銃とかナイフじゃなくても…」
「どういう意味ぴょん?」
「ほら、日曜の朝にやっている幼児向けアニメがあるじゃん。あんな感じの何とかステッキやら何とかビームやら…そういうので倒した方が夢があるんじゃないか?」
そう提案すれば、うさぎは「あー」と小ばかにした表情を俺に向けた。何だよ。
「そういう夢があるもの、運営は求めてないぴょん。より現実っぽく、リアルにやる方が人は気になるものぴょん。だから、当然キミ達もリアルに戦ってもらうぴょん」
「リアルに?」
「そう。戦いの様子はVL内の特設ステージを使って、日本全体に生放送でお送りするぴょん」
「それのどこがリアルだっていうのよ」
「まあまあ、そう急かすなぴょん。死んでも所詮ゲーム、何回でも生き返れる、そんなのつまらないぴょん」
先ほどの俺の言葉を撤回したい。やはり俺の予感は的中していたようだ。
こんなの普通じゃない。これはきっと運営じゃない。
俺たちは最悪のゲームに巻き込まれてしまったのかもしれない。
「ウイルスに負けて死んだら、現実のキミ達も死ぬぴょん」
サイバーライフ! ゆちゃん @ammy58
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。サイバーライフ!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます