第3話

ある日の放課後、いつも通り真実は学校の図書室にいた。ここは真実にとって最も落ち着くことのできる場所であった。


新着図書の棚をチェックし、館内をぐるりと1周している途中、図書室の奥の方で普段はあまり見ない本棚にふと目がいった。英米文学の本が並ぶ中に周囲よりもひと回り小さな本がひっそりと間に挟まれていた。


「『my story 』…?」


シックな装丁の表紙の中央には控えめにタイトルがプリントされていた。

少し古びたその本をめくってみると、そこにはただ黄ばんだだけのまっさらな紙が綴られているだけであり、何も書かれていなかった。


「なにこれ…なにも書いてないじゃん…。」

そう思って本を閉じようとしたとき、ふと裏表紙になにか書かれてあることに気がついた。英語で書かれていたが、大まなか内容はこうだ。

・この本には読む人の未来が書かれている。

・未来の内容はひとつとは限らないし、必ずしもその通りになるとも限らない。

・この本に書かれる未来を読むためには、学問の分野や職業名を空白のページに記入すること。(記入する事柄への興味の有無は問わない)


「なにこれ…どういうこと?ここに職業名とか書けば私の将来像が見えるとでも言うの…?そんなはずないでしょ…。」

にわかに信じられない内容に驚きつつも、確実に興味はそそられていた。

気付けば本を手に貸出カウンターへ足を運んでいた。



「借りてはみたものの、やっぱり胡散臭いよね…。しかも学校の本に書き込みなんて出来ないし。」

学校からの帰り道、真実は未だこの本の力を信じられないでいた。そして根っからの真面目さも手伝い、実際に書き込んでもいいものか判断しかねていた。

「まぁ後でゆっくり見てみよう。他にも何か書いてあるかもしれないし。」

淡い期待を抱きつつ家路につくのであった。

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