あなたはそれでもネット炎上を行いますか?
アーカーシャチャンネル
本編
西暦二〇一九年七月三十一日午前十一時。そこで、あるPVが動画サイト内で話題となっている記事を発見する。
その動画の中では――常時爆音が流れきそうなゲームセンターの待機用の椅子、そこに一人の女性が座っていた。
彼女の服装は、どう考えてもゲーセンでは考えにくい――その外見はコスプレイヤーのようであったという。
【どちらにしても、今回のチャート次第で音楽業界のこれからが決まるだろう――】
彼女がチェックしていたのは、とあるまとめサイトに転載されていた記事だった。
その中身は最近の音楽チャートにおける傾向等を取り上げたものらしい。
【超有名アイドルがCDチャートを独占するような状況は音楽業界にとっては、バブル崩壊に等しい状況だ】
【超有名アイドルに関して最初は否定しようと考えていた。あの商法が永遠に続くはずがない。それに加えて、利益を得るためにありとあらゆるグレーな行動に出ると言う部分も】
【俗に言う炎上ビジネスか。超有名アイドルは既に炎上ブログ大手やアフィリエイト系まとめサイトも味方にしていると聞く。このままでは、超有名アイドル以外のコンテンツが消えてなくなるのも時間の問題だろう】
様々な部分で編集後のある記事なのは間違いないが、彼女にとってはどうでもよかった。
とにかく――音楽業界を変える為、彼女が取った行動とは――手慣れた指タッチで文字を入力していくが、スマホで入力するのではなく、タブレットのキーボードアプリで入力している物だった。
彼女は、何としても――この業界を変えたいと思ったのである。音楽が好きだったから――その一心で。
数分後、まとめサイト上で、ある記事が話題となっていたのである。
【アイドルグループBのメンバーがネット炎上行為か?】
これはいったいどういう事なのか? まるで、超有名アイドルの芸能事務所とは無縁なアイドルグループが炎上させたような記事内容である。
この結果を見て、彼女は――激しく後悔をしたのだが、それは後の祭りと言うべきだろう。
彼女は――ある行動を起こそうとしていた。それは復讐――だが。
『ネガキャンやネット炎上、それらを行う事はSNSテロに加担する事になります』
そのシーンが映し出される事はなく、突如としてテレビ画面には白い画面で黒い文字と言うシンプルな画面に変化していた。
そして、この動画は次のメッセージで終わっていたのである。
『なくそうネット炎上。SNSテロ撲滅キャンペーン』
実際、このようなキャンペーンは展開されていない事に気付いたのは、五分間と言う動画を見終わった視聴者だけだった。
この動画のキャプション文には、隠しコメントとしてあるメッセージが含まれていたからである。
《これはCGフィギュアの動作実験を目的とした動画であり、題材はWEB小説から拝借いたしました》
全ては――動画投稿者の実験だったのだ。
あなたはそれでもネット炎上を行いますか? アーカーシャチャンネル @akari-novel
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