遠い視線と憧れを仄かに宿す端正な文章が、透き通った響きを奏でる青春篇。

 彼が扉を開くと、詰め込まれた夏の日差しが一気に解き放たれ、強烈な光が目に刺さる。こちらを向いた彼の瞳が光を受けて金色に輝く。シャツの白さが眩しい。真正面にあるステンドグラスには幼いイエスを抱く聖母マリアが表れ、陽光を取り込んで教会内を優しく照らしている。 (「見えない翼」本文より)

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