RPGはお好きですか?

ごはんですよ

Lv0

外で蝉が鳴いている。

クラスのお調子者が空調の温度を下げたせいで少し肌寒い。

先生がなにか大事なことを話しているようだったが全く耳に入ってこなかった。

20xx年、科学技術の進歩により街には機械があふれ便利になった一方行き過ぎた研究者達のおかげで「キメラ」と呼ばれる魔物や今の科学技術では証明出来ない存在が生まれてしまった。だがそれに対抗できる人間も存在し彼らを「勇者」と人々は呼ぶ。

なんだかRPGのようだ。

まぁ基本的に勇者達は国の管理下でキメラを掃討そうとうしその対価で生活をしている。ギルドなども存在しているようだがあまり詳しいことは知らない。

先生「斑見まだらみ

勇者になろうと思う人間なんて変わっている、年間でも何千人という人間がキメラ達に殺されだろそれと同じ数の勇者達が殺されている。

先生「斑見!」

斑見「は、はい」

まずいこの先生は怒るとめんどくさい...

先生「どうせ聞いてなかっただろ?後で職員室来い」

斑見「はい...」

しまった...

「タクト君ぼーっとしてるからだよ」

そう声をかけてきたのは隣の席の藍原だ

「ごめん、ちょっと考え事してた」

俺は斑見タクト、まだらみなんて珍しい苗字だが特に気にしたことは無い。

藍原あいはら「なーに考えてたの??」

斑見ー「特に大したことじゃないよ」

藍原「現社の家里は怒ったらめんどくさいんだから」

斑見「ごめんごめん」

キーンコーンカーンコーン

授業終了のチャイムが鳴る

藍原「やったー!今日も1日終わったー!」

教室が騒がしくなりクラスのみんなは放課後のことや今週末の休みの予定を立てだす。

俺も今日は早く帰らないと...

藍原「タクト君、家里に呼ばれてたでしょ?行かなきゃ怒られるよー」

はぁ。


家里「ここ最近のお前はたるんでいるぞ」

斑見「はい」

家里「母親のこともだな、お前は...」

こいつは俺の担任で現社を教えている家里だ怒ると面倒で何よりお節介だ。

斑見「先生、今日は面会の日なので...」

家里「あぁ...そうか、悪かったな」

斑見「それでは」

職員室を出ようとしたところで呼び止められた。

家里「来週の月曜日、進路希望調査票の提出日だからな。忘れず持ってこいよ」

俺は無言のまま職員室を出た。

昼は凄く晴れていたが空は曇っていて今にも雨が降り出しそうだった。

俺は物心ついた時から母親と2人暮らしだった父親の事は聞いたこともないし気になることもなかった。母は体が弱くよく病気で寝込んでいる。そして昨日容態が急変して入院することになった。

「タクト...」

母はすごく調子が悪そうで身体も細くなってしまっていた。

母「学校は終わったの?」

斑見「うん。調子はどう?」

母「昨日よりは元気よ...」

斑見「そっか...」

先が長くないことは分かっている。

医者からも重い病気であること、覚悟を決めなければいけないことも聞かされていた。

母「こんな大変な時にごめんね」

斑見「いいよ...」

俺は今高校2年で今日は夏休みの補習だった。

母「進路は決まったの?」

斑見「まぁ...」

母「そう...」

いっときの沈黙がながれた。

斑見「着替え」

母「ん?」

斑見「着替えもってきてないだろ?とってくるね」

母「ありがとね」

病室をでた。あそこにいるとどうにかなってしまいそうだった。

通りすがりのナースがこちらをみて気まずそうな顔をして会釈えしゃくしてきた。

そんな顔で見るなよ。


家に着いた。雨は降ってこなかった。

家の中は薄暗くどこかさびしい雰囲気が漂っていた。

斑見「着替え準備しなくちゃな」

母のクローゼットを開けると落ち着く香りがした。幼い頃から知っている香り。

必要なものを揃え病院へと向かった。

ついに雨が降り出してきた。

雨は嫌いだ。幼い頃から雨の日は理由はないけど嫌いだった。

雨の日は母も外をどこか寂しそうな顔で見ていた。

病院につくとなにやら忙しそうにしていた。

するとナースのひとりがこちらに気づき駆け寄ってきた。嫌な予感がした。

「斑見さんの容態が急変して...」

病室まで走っていった。そんな...まさか...

そこにはさっきとは全然違う母親がベットに寝ていた。

たくさんの管が繋がれていてよく分からない機械がたくさん繋がれていた。

斑見「かぁ...さん...」

そばによると母はこちらに気づき涙を流していた。

母「タクト...」

医者がなにやら喋っていて耳障りだった

斑見「うるさい!静かにしていろ!」

医者達が静まり返る。

母「あなたに謝っておきたいことがあったの」

斑見「え?」

母「あなたは私が拾ってきた子なの、今まで黙っていてごめんなさい」

わけがわかなかった

母「アクセリア教会という教会の前であなたを拾ったの。」

斑見「そんな...」

母「自分のことは自分がよくわかっている。もう私には時間が残されていない。よく私の言うことを聞いて」

斑見「そんな...そんな...だって、かぁさん...」

母「しっかりしなさい!!」

必死の形相で母は僕の腕を掴んできた

母「その教会の神父様とは古い付き合いなの、私がいなくなってら彼を頼りなさい、良くしてくれるはずだから。」

泣きながら首を縦にふった

母「そう、それでいいの...最後に...」

あなたのことあいしていたわ

そう聞こえた。

だが母はもう目を閉じていた。

雨の音がやけにうるさく聞こえた。


それから葬式などがあった俺はからっぽになってしまった。

親戚などから声をかけられたが全て無視した。どうせ俺はホントの子じゃない。


そして俺は母がなくなる前に言っていた教会へ向かったそこはすごくボロボロでさびれていた。

斑見「こんな教会まだやってんのかよ」

そう言いつつも扉を開け中に入ってみた。

中はほこりっぽくだいぶ使われていない様子だった。

奥にある部屋をノックしてみたが反応はなかった。

誰もいるわけないよな。

そう思って帰ろうとした時

「なんか用かボウズ?」

と声がした

声のした方に目線を向けると

入口のドアにもたれかかった40代くらいの陽気そうな神父がいた。

斑見「すみません、勝手に入ってしまって...」

神父「いいんだよ、ここは教会なんだから。なんだ?罪の告白にでもきたか?それとも神様助けてくださいか?」

斑見「いえ、母が、なくなる前にここの教会の神父と知り合いで頼れと...」

神父「ボウズ、名前は?」

斑見「斑見です。斑見タクトです。」

すると神父はなぜか嬉しそうな顔をしていた

神父「ほーう、お前があの時の赤ん坊か。でかくなったな」

斑見「何か知っているんですか?」

神父「いやなーに。教会の前で泣いている人の子がいるなと思って見に行ったらあんたの母親と偶然あってな。引き取ってもらった」

斑見「そうですか...」

神父「まぁ、あんたの母親は体が弱くて子供を産むことができなかったからな、神からの贈り物だったのかもしれないな」

沈黙がながれる

神父「お前のことは俺が面倒を見る。お前の母との約束だ」

斑見「母がそんなことを?」

神父「うーんまぁ色々あってな」

そしてまた沈黙がながれ

神父「あー」

斑見「あの、」

すると神父はどうぞとしてきた

斑見「いえ、お世話になります」

神父「いやいや、いいんだよ。だがなちょーとばかし問題があってな...」

斑見「問題とは?」

神父「お前は人の子じゃない」

母が亡くなって、自分の子ではなかったと告白されその数日後にはお前は人の子じゃないと言われどうにかなってしまいそうだった。

神父「まぁ人間ではあるが。手違いでな。」

斑見「知っていることがあるなら全て話してください」

神父「あー、実を言うと俺も人間じゃない。人の言ういわゆる神に近い存在なんだよな。んで突然変異によりお前が産まれた。」

ついていけなかった

神父「お前は俺らの仲間から忌み子として殺されそうになった。そこを俺が助けた。そして人間界に連れてきてこの教会の前に来た人間に拾わせた。」

斑見「なんなんだよそれ」

神父「これは嘘じゃない全部ホントのことだ。お前はこちら側でもなければ人間でもない」

頭がパンクしそうだ

神父「そこでだ、提案なんだが俺はお前のことを見込んで寵愛ちょうあいを授けた。だからお前には俺という神の加護がある。」

斑見「何が言いたい」

神父「勇者になれ、そして人間界を救え。お前にしかできない事だ」

俺にはもう何も残っていなければこの現実を避けることも出来ない。今はただこの目の前のニヤついた神父のいうことを聞くしかないのだ

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