第18話 私もやります!
「えっと、ドラゴンさんは」
『ファフニールだ』
「へ?」
『我の名だ。ファフニールという』
「おおっ、除菌消臭剤みたいだー」
「ファしか合ってないからな。と言うか千年も続いてるのかあの商品、すごいな」
「ファフニールさん!怪我してるんでしょ。怪我をさせた張本人に治させるから、ちょっとそこに座って!」
『む、むう。これでいいか』
「はい。よく出来ました!ガクくん!治せるんでしょ?さあ、ぱっぱとやっちゃって!」
「う、わかったから引っ張らないで!」
(ドラゴンだから蛇に関係している神様の方が効くかな)
「アクティベート《アスクレーピオスの杖》」
ファフニールの前に蛇が巻きついた杖が現れ、その蛇が首を上げるといきなり傷口に噛み付いた。
「ええっ?ガクくん、ちょっと噛み付いちゃったわよ!」
「あれホントだ。まあ何とかなるんじゃないかな」
「適当だなー。あ、傷が吸われてる」
蛇の牙が傷口に触れるとその傷が口の中に吸い込まれていくように見えている。
吸いきったあとは、元の傷の無いキレイな鱗が残った。
一番大きな胸の傷を吸い取ると今度は初めに付けた傷に首を動かし吸い始める。
「うひゃあ。面白いですねー!なんだかおいしそー」
「…小海ちゃんは食べたらダメ…お腹壊すから…」
(あれを美味しそうと思うセンスが分からん)
最後に額の薄い傷を吸い取ると蛇は再び杖に巻き付き、杖ごと消え去った。
「ふう、これで癒せたかな。どう、ファドさん」
『何だそれは』
「ん?ファフニールは呼びづらいからドラゴンのファフニールさんだからファドさん」
「それならドファさんじゃないの?」
「それだと余計呼びづらいじゃないか」
「おお、ファドさんだ!ファードさん!」
『フハハハハッ』
「どうしたファドさん。頭打ったか?」
『フッ。我をそのように呼ぶ者など居た試しがないものでな。面白い者等だ。好きに呼ぶがいい。傷は全て癒えた。寧ろ以前より身体が軽い。礼を言おう』
「そんな!ファドさんを傷付けたのはガクくんなんですから!お礼は不要です!」
『ハハハハッ。愉快だ。このように愉快なのは久しぶりだ』
ファドは身体を大きく揺らし後ろ脚を踏み鳴らしている。
これがドラゴン流の喜びの表現なのだろう。
『汝の名は何と言う?』
「あ!名乗らなくてごめんなさい。私はレンゲ ワシバと言います。あれ?何で反対になっちゃうの?レンゲ…ワシバ…ええ?何で?」
「そう言えば何でレンゲちゃんと美濃さんはドラゴン語?が話せるの?」
「え?ドラゴン語?何それ」
ガクは小海とあづみを見る。
「わ、私達は《全言語翻訳》を持ってますから」
「…多分、ここに一緒に転移した時に自動でコピーされた…」
千年先の技術なのか分からなかったが、実際に蓮華達が話しているのだから、恐らくあづみの説が正しいのだろう。
全員ファドに自己紹介をすると蓮華が質問をする。
「ファドさんは何でここに居たんですか?ここってかなり人の住む街に近いですよね。私達が歩いて来れたくらいですから」
『我はあの人の集まるところに捕まった同胞を助けに来たのだ。何やら不可思議な魔法を使い次々と同胞を捕縛しておる。捕らわれた者が素直に従っておるのも理解できぬ』
「王都にドラゴンが捕まっている?人族と仲良くしているって訳じゃないんだよね」
『我等は《神の五眷属》一位の種族。本来の眷属でもない人族などと馴れ合う事は無い』
「ええー、でも私達も人族ですよー。ファドファドと私達はもうお友達じゃないですか!」
「ファドファドって…。でも小海の言う通り今のこの状況みたいに仲良くなる事もあるんじゃないのかな」
『それは無い。先も言った通り摩訶不思議な魔法で同胞等を抵抗できぬようにして連れ去っておる。どうやらその後もあの地で人族に使役されているようだ。誇り高き竜族が下位の種族に使われるなどあり得ぬ!しかし、人族どころかエルフ族の魔法であっても竜族を惑わすなぞ出来るはずがないのだ』
「不思議な魔法ってこの世界のじゃ無い魔法って事なのかな?」
「レンゲちゃん、それだ!別のセグメントの魔法だよ!」
「私達みたいな転移者ですね!」
「…今調べた…『アトモスフィア』と『ムンドゥス』からは私達だけしか来てない…こことはガクくんが交渉する事になっているから全員撤退している…」
「ねぇ、私、話についていけないんですけど。レンゲは何ですんなり理解してるのよ!」
小海とあづみには当然の事だが、蓮華も理解が早いのには理由がある。
オタクと呼ばれているガクの趣味を理解しようとガクが好きそうなアニメやゲームは片っ端から試していた。
実は蓮華の自分のパソコンにはセグメント・ワールドもインストール済みである。
ただ、始めの設定画面でつまずいて先に進めていなかったが。
「だとすると『カルディア』?」
「あそこは世界転移する程の文明は無いですよ」
「…あとは『ブリオングロード』…」
今まで名前しか聞いたことが無く、どんなセグメントなのかよく分からなかった。
「どういうセグメントなんだ?」
「わかりません!」
「また、授業に追いつけてないとか?」
「失礼な!授業に追いつけないなんて無いですよ!ちょっと覚えるのが苦手なだけです!」
「お、おう。それじゃあ、そっちの世界でもよく分かってないのか?」
小海とあづみの話によると『ブリオングロード』は5つの隣接するセグメントの中で唯一素性のはっきりしていない世界らしい。
4つのセグメントまで転移していれば、次にランダム転移する行き先は高確率で『ブリオングロード』になる。
必ずでは無いのは、低い確率で隣接していない遠くのセグメントに転移する可能性があるからだ。
それでも2〜3人も転移すれば1人くらいは『ブリオングロード』に行き着いても良いはずだ。
だが、『ブリオングロード』に転移したらしい人は一瞬姿が消えた後すぐに同じ場所に現れた。
どうやら転移の途中で弾かれ、元の世界に強制的に戻らされているようだ。
その証拠にその者が再び転移しようとすると、転移候補地に『ブリオングロード』があるのだ。
転移先が『ブリオングロード』に選ばれ転移は成功したが転移先で追い返されたのだろうというのが、学園長等の見解らしい。
「ふーむ。何が居るか分からないのか。でも、僕達以外でここにきているのは居ないし、ここの世界にない魔法を使っているなら『ブリオングロード』から来た何者かがドラゴンを操って何かをしているって言うのが妥当な線かな」
『別の世界か。同胞を助けようとあの地から出てきたところを追いかけた時があったのだが、急に姿が見なくなったのだ。あれは今思うと別世界への転移だったのかも知れぬ』
「ねぇガクくん。これってゲームのアレと同じなの?セグメントとか転移するって」
「あ、うん、レンゲちゃんセグメント・ワールドした事があるの?」
「うっ。設定画面で止まったまま。でもインターネットっでどんな事をするのかとかは調べたわ!セグメント戦っていうのをするんでしょ?その人達はドラゴンさん達を使役して殲滅戦って言うのを仕掛けようとしてるんじゃないの?」
セグメント・ワールドでは、別の世界を占領して自分の世界を広げる占領戦とその世界の主要生物の殲滅する事で世界全てを一気に取得する殲滅戦とがある。
占領戦で奪った世界は、残っている生物は全て奪った側の世界の住人になれるが、殲滅戦ではその世界を担っている生物が全ていなくなる為、下等生物や虫のようなものしか残らない。
少しずつ占領する必要も無く、移ってきた住人による反乱の心配も無い為、殲滅戦の方が楽なのだが、ゲームではかなり嫌がられる戦法になる。
「もし、現実で殲滅戦をやろうとしているのなら、それはもうただの殺戮だ。戦争でも負けを認めればそこで終わるけど、殲滅戦は最後の一人が居なくなるまで世界を奪えないから途中で終わる事は無い」
「そんなの許せません!私達も占領戦はやってるし、いくつもの世界を奪ってるからあまり偉そうな事は言えないですけど、でも、でも!負けを認めても、謝ってもゆるさないって事でしょ!そんなのしたらダメだと思う!」
他の皆も頷いている。
「捕らわれているドラゴン達を助けよう!ファドさんの仲間にそんな事をさせる訳にはいかない!」
「うん!こんな事止めないと!恵那!あなたは家に帰って。ここまで付き合ってくれてありがとね」
「何言ってるのさ。私ここで帰ったらかなり薄情者だよ?」
「でも、ここからは私達のわがままだし」
「むかっ!その『私達』に私は入ってないっての?私だってこんな事、放っておけないよ!」
「恵那…、ごめん!私達!だもんね!一緒にドラゴンさん達を助けよう!」
小海とあづみも同意してくれる。
この二人は元からセグメント戦は最前線で戦っている。
しかも、素性の分からないセグメントからの初めての攻撃の可能性がある。
自分達の世界も危険に晒されるかもしれない為、これは自分達の戦いでもある。
「ファドさん!そういう訳だから、みんなでドラゴンさん達を助けに行くね!」
『むう。何故汝らはこうまでする。別世界から来たようだが、汝らには竜族は全くの無関係では無いか。見返りなどないのだぞ』
「友達が困ってるなら助けるのは当然でしょ?ねっ!」
「僕達さっきまで戦ってたんだけどね。今まで戦ってた敵が今度は味方になって再登場!って感じなのかな」
「おおっ!少年マンガの王道ですね!」
「あるんだ、マンガ」
助けるとは言ってもどうやって王都の何処かにに捕らわれているドラゴンを探すのか、そしてどうやって助けるのか見当がつかない。
第一ガクと《アトモスフィア》組は良いとしても、蓮華と恵那は魔法やスキルがある訳ではない。
「私達も魔法が使えるようにならないかな。せめて連絡くらいはできた方がいいと思うの」
「携帯が使えないのは痛いよね」
ゲームのセグメント・ワールドではセグメントの住人になればその世界特有の魔法やスキルは無条件で習得できる。
高度な魔法やスキルは習得だけ出来るが、魔力が足りないなどで実行できない場合もあるが、レベルを上げる事でいつかは使えるようになる。
他のセグメントのスキル等は《秘伝の種》をもらう事で得られる。
これはガクが《魔導錬金術》を会得した方法だ。
神々や魔獣などの力を借りる魔法はその者に認められて、恩恵を受けなければならない。
直接恩恵を授かるのが正規の会得方法だが、大抵は儀式を行う事で簡易的に恩恵を貰っているのが殆どだ。
ガクは《魔法設計》スキルによりその辺りの面倒な手続きを飛ばして、いくつもの神々の力を借りる事が出来ている。
あとは《ファイヤボール》のような属性魔法がある。
どのセグメントでも使う事ができ、習得も比較的簡単だ。
呪文を覚えてひたすら練習すれば、大抵の者はいつかは習得できるようになる。
「どうやって使えるようにしようか。僕の場合は変則的に使えるようになったからやり方が分からないな」
「祝詞覚えます?私なら短縮版で教えられますよ!」
「いや、覚えたり練習する時間はないよ。《秘伝の種》があれば簡単なんだけど、あれってどうやってみんな出してるんだ?卵産むみたいなものか?」
『レンゲとエナは魔法が使えぬのか。それは難儀であろう。ならば我のマナを分けよう』
ファドは両方の前脚を蓮華と恵那の前に向け、二人の額に爪を当てる。
『少しそのまま動かぬように。ふむ。これで何かの力が使えるようになったであろう」』
「何も変わった感じしないね」
「ねぇどうやんの?」
「えっと、人差し指と中指をこうして、トントンってするとステータスウィンドウが出てくるよ」
「出ないよ」
「出ないね」
『我の加護にそのような無粋なものは要らぬ。念じれば加護の証しを示すだろう』
「そのやり方は二世代前のOSですね。あれ?もしかしてガクくんだけお古ですかあ?ぷぷー」
「…ドンマイ…」
「そ、そんな。僕がこの中で一番遅れているのか!?」
蓮華と恵那が念じるとステータスウィンドウが表示された。
小海が自分のウィンドウを見せながら皆にも見える設定を教える。
「さて、二人はどんな魔法が使えるようになったのかな?」
「おお!人のを見るのって楽しいー」
「…秘密公開…」
蓮華の魔法欄には《りゅうのつばさ》と《りゅうのしっぽ》そして《りゅうのつめ》とあった。
スキルには何も無く、アビリティには《ドラゴンの加護》と小海から貰った《全言語翻訳》があった。
一方恵那の魔法は《りゅうのち》、スキルには《地龍》と《水龍》があり、アビリティは同じく《ドラゴンの加護》とあづみに貰った《全言語翻訳》があった。
蓮華から魔法を試してみることにした。
『竜族であれば念じるだけで様々な魔法を使えるが、汝ら人族はその発動の感覚が掴みにくいようだ。魔法の名を声に出して呼ぶのがいいだろう』
「分かった!やってみるね!《りゅうのつばさ》!!」
蓮華の背中からバサっと竜が持つような翼が生える。
「え?何?!どうなったの?見えないんだけど」
「羽が生えてますよ、レンゲさん!」
「…ドラゴンの翼…」
「カッコいいな!もしかして飛べるんじゃないの?」
『飛ぶ事は出来ぬだろうな。我の翼もそうだがこの大きさの翼を羽ばたかせた所で飛べるわけなかろう。竜族はマナで飛んでいるのだ。翼はそのマナを周囲からかき集める為のものだ』
「この翼でマナを集められてもレンゲちゃんは飛べないって事?」
『うむ。マナを利用して飛ぶ能力は竜族特有のスキルだからな。それを受け継がなかったレンゲは飛べないだろう』
「はいは〜い!それじゃあこの翼さんはどんな事に使えるんですかー?」
「翼さんって。でも小海の言う通り飛ぶ為にマナを集める翼なのに飛べないんだったら、何に使えるんだ?」
『我は飛べるのだから分からぬな。風くらいは起こせるであろう』
一同落胆をする。
それでも蓮華は翼を動かしてみたり、畳んでみたりと気に入っているようだった。
『まだ他のもある。次に行ってみよ。消すくらいなら念じれば消えるだろう』
「ううっ。みんなからの最初からつまづいた感が…。私は気に入ったんだけどな。えっと、翼は消して、と。次行ってみる!《りゅうのしっぽ》!!どう?あ、今度は見えた!あんまし可愛くない…」
「可愛さは要らないからね。今度は何ができるんだ?」
『竜族の尾は硬い鱗で覆われている。振り回せばそれだけで強い武器となる』
「おおおっ!!カッコいいです、レンゲさん!!」
「翼の時も気になったけど、これって付け根はどうなってるんだ?直に生えてるの?」
「ちょっと見ないでよ!ガクくんのスケベ!!」
「いや、別にいやらしい目で見てる訳じゃなくて!ただ服とか大丈夫なのかなって思っただけだよ!」
「私が見てあげる。どれどれ、ほう、これはまた」
恵那が蓮華の後ろに回り尾の付け根を確認する。
「気になるから、言ってくれよ」
「君も好きね〜。分かった分かった冗談だって。スカートから直接生えてるね」
小海とあづみも蓮華の背後を覗き込む。
「尾っぽ、スカート突き抜けてますね。CGが重なってるみたいな感じ?」
「これ振っても大丈夫かな。めくれてない?」
結局、このしっぽはいくら振り回しても服は乱れないと言うところだけが確認できた。
もっと確認することがあるだろうとガクは思ったいたが、蓮華にとっては一番の問題らしかった。
「私の魔法って何か役立つのかな?最後のいってみるよ。えっと《りゅうのつめ》」
蓮華の右手に一本の白い棒が現れる。
「これが爪?」
「色的にはそうみたいだね。ちょっと反ってるのが爪らしさなんだろうけど、これは殆ど木刀だね。翼としっぽを生やしてこれを持ってたら、結構怖い絵面だね」
「私もっと可愛いのが良かった…」
片手で《りゅうのつめ》をブンブンと振り回しながら、蓮華は見た目の悪さに愚痴をこぼしていた。
「ま、まあ、ドラゴンに加護を貰うなんて中々無いからいいじゃない。僕も貰いたいくらいだよ」
「気を取り直して私の魔法を試してみようよ。レンゲはアレだったけどさ、私が活躍すればプラマイゼロだよ」
「恵那〜、フォローになってないんだけど」
恵那も魔法を試し打ちしてみる。
「名前からして怖い絵になりそ。いってみるよ!《りゅうのち》!」
恵那の周りに赤い霧が発生すると、渦を巻き始め、ガクに集まり始める。
「ぬおっ、何?!美濃さん僕に攻撃してるの?うぐあっ!やられたー!」
「ガクくん!恵那!止めて!ガクくんが血まみれに!」
「ふわわわっ!真っ赤です!」
「…急いで回復を!」
「ってあれ?なんとも無い?あ!さっきの戦闘で付いた傷が治ってる」
『竜の血には治癒の力を持つ者もいる。見た目に反して回復の魔法なのだろう』
「なんだー。ちょっとびっくりさせないでよね!」
「それは僕のセリフだよ!これ回復は良いけど毎回血まみれになるのはなんだかなぁ」
この中で一番負傷していたガクに赤い霧が集まって治癒をしたらしい。
赤い霧は傷のある場所に集まり、全身血だらけになっていたが、数分経つと血の色は消えていた。
蓮華にも少しだけ霧が集まっていたので、何故なのか不思議だったが、蓮華のステータスを見たガクがその理由に気が付いた。
「レンゲちゃんのMPが回復してる。HPとMPどっちも回復するのか」
その場で必要な回復を最適な割合で回復してくれるようだ。
「流石私、早速有用な魔法使いになったよ。そこ落ち込まない!次はスキルってのだね。魔法とスキルって何が違うのさ」
「僕の知識が古いので無ければ、MPを消費するのが魔法で消費しないのがスキルだね」
「ガクくん根に持ちますね〜。大丈夫ですよ!私、先週最新のOSにアップデートしたばかりですけど、見た目とかあんまり変わらなかったですから!」
「うん、生暖かいフォローはやめてね」
《地龍》から試してみる。
「《地龍》。あ、そこ!あっちからあっちに流れてる、って何これ。何か地面の下に川みたいなのが流れてるのが見える」
「…それは、地脈だと思う。マナの流れ…」
「おお、地脈、地脈。習った、ような、気もしなくも無い、かな」
『マナの流れを知れば、それを利用して魔法の威力を増したり、マナそのものを使って魔法にする事も出来るであろう。竜の中でも年老いた者にしか出来ぬ技だ』
見た目の地味さに反して、古代竜の特殊な技のようだ。
「残りは《水龍》だっけ。これもさっきの《地龍》からすると水の流れがわかるとか?一応、水を探せるのは良いことかな?」
「これも地味ね。ま、やってみましょ。《水龍》。んー。ガクくん!君、金貨をたんまり持ってるね!って何なのさ。人の財布事情を盗み見るスキルなの?」
「これはこれで恵那っぽいわね」
「何でよ!」
『価値のあるものの場所を見極めたり、入手する方法を示したり、運を呼び寄せたり、するの、だろうか?』
「最後疑問形になっちゃったよ。ファドさんにも分からないスキルなんだ。まあ、あんまり使う場面無さそうだね」
一通り試したが、有用そうなのは恵那の竜の血だけだった。
「ドンマイですよ!お二人とも!」
「そう言うと本当にダメそうに聞こえるからやめてあげて!」
「…気持ちが大事…やる気があれば何でも出来る…」
慰められ余計に落ち込む二人だった。
セグメントワールド @soch
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