第3話

 俺が桜沢高校に入学して、初めての中間テスト。

 結果は学年で八位。


 特に嬉しいとか悔しいとかはないので、別に何とも思わない。


 寧ろ俺の場合、成績なんてただの飾りとしてしか思っていない。



 フッ決まった…





 あっ、はいすいません。調子乗り過ぎました。



 だって俺の場合ゲームさえ出来ればそれでいいからね。




 そんなことを考えていたら、高坂さんがこちらにやってくるのが視界に入ってくる。


 え?なんで、こっちくんの?

 あ~ね、俺の前らへんで、話してる奴のとこに行くんだね。そうだよね?


「ねぇねぇ、いつも一人で何の音楽聞いてるの?」


 まじかー、高坂さんまじかー。

 そんなことを聞くためだけに俺の所きたのかよ。俺じゃなくて清水の所いけよ。

 

「……」


 俺は無視をすることにした。

 これで高坂さんも申し訳ないと思って諦めるだろ。


「おーい。聞いてますか?」


 なんでやねん。


 高坂さんは俺の顔の前でブンブンと手を振ってくる。


 正直鬱陶しい。

 これが普通の男子の場合だったら。すぐ頬を赤く染めてじゃっかんキョドりながら質問に答えるだろうな。


 だが俺は頬赤く染めたりもキョドりもしない。

 逆にイライラしている。

 若干、今クラスの奴らが俺に話しかけてきた高坂さんに驚いた顔をしている。

 しかも、『えっ、高坂さんがアイツに話しかけてる?うわ!ヤバいって、高坂さんやめといといた方がいいって』なんて声も聞こえてくる。


 酷過ぎんだろ。まぁいいけど。


 俺が早くどっかいってくんないかな?なんて思いながら音楽を聞いていると、

 今サビの所に入った曲が急に聞こえなくなる。

 否、聞こえなくなったのではなく、俺が付けていたイヤホンを男子生徒取ってきたのだ。

 そしてその男子生徒は俺に少し怒った口調でこういってくる。


「おい、ぼっち根暗野郎。今高坂さんが話しかけてくれたんだから、ちゃんと返事しろよ」


 突然イヤホンを奪いとってきた男子生徒が俺に言ってくる。


 てゆかちょっと待て、今コイツ俺のことぼっち根暗野郎って言わなかったか?

 おいおいボッチってことは自覚してるが根暗ではないと思うぞ?


 イヤホン奪われちゃったし、しかも大部見られてるし、これ以上悪目立ちするのは良くないな。早くこの話し終わらせてトイレに逃げよ。


「音楽聞いてて声が聞こえてなかっただけだ」


 俺は咄嗟に嘘をつく。いやあながち間違えではないな。一応本当に音楽は聞いているからな。


「で、高坂さん何?聞こえなかったから、もう一度言ってくれる?」


「え、えっと…いつも一人でいるから、気になってたんだけど、何の曲きいてるのかな?って思って」


 俺がいつも教室で一人のこと知ってたのかよ。てかちゃんと人のことみてんだな。


「別に俺が1人でどんな曲聞いてようが、俺の勝手だ。しかも教えたところで高坂さんにメリットあんのか?」


「そ、そうだよねごめんね。そうだよね、せっかくの時間潰しちゃってごめんね」


 高坂さんは俺にそう言って謝ってくる。

 

すると、


「おい、ちょっと待てよ高坂さんにその言い方はないだろ?寧ろお前を気遣って話しかけに来てくれたんだ。寧ろ謝るべきはお前だろ?」


 黙って話しを聞いていたさっきの男子生徒が口角をあげながら、俺に謝罪を求める用に要求してくる。


「ちょ、ちょっと大迫君。別に私は謝ってほしいなんて思ってないよ」


「いいんだ、高坂さん。コイツに気を使って庇ってるんだよね、優しいね高坂さんは。でももう大丈夫だから。

 おい早く高坂さんに謝れ」


 周りにいた男子生徒達もうんうんと頷いている。清水だけは微妙な表情をしているが。


 はぁ…何で俺が謝らなきゃいかんのだ。

 面倒くせぇーな。

 まぁ別にプライドなんてそもそもないんだし謝罪くらい全然大丈夫だろ。


 俺は席を立ち高坂さんの前に立つ。



「高坂さん、ごめん」



 そしてクラスの奴らが見ている前で俺は腰を曲げ謝罪をした。そして続けざまに、

 

「じゃ謝ったからもう行くわ」


 と、言いトイレに行くことする。


 俺は何かいいたそうにしている高坂さんを無視してトイレへ行く。


 そして陣上が教室をでて行ってからクラスの奴らは陣上のことを話していた。


「なんなんアイツ。マジでうざくね」


「わかるそれ、謝ったと思ったら反省の色も見せずどっか行ったしな、絶対適当に謝罪してたよなあれ」


「確かにそれな、アイツいつも一人のくせになんか生意気じゃない?」


「それ私も思った」


「だよねーなんかキモイよね」


 そう、陣上はトイレにってる間、クラスでは様々な、ことを言われていたのだった。

 主に陣上の悪口を。


「陣上君…」


 そして何故か陣上が行った先を見つめながら、悪意のある笑みを浮かべている高坂志保の姿があったが、誰も気付いてはいなかった。




 












 


 

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ぼっちが人を助けちゃいけない?誰が決めた!! sorasiro @sorasiro0

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