たんぽぽ

セナ

第1話[完結]

あの時は幸せだった。私はどうしてあの時止めなかったのか、申し出を受けなかったのか。


 


今どうしてこの光景を見なくてはいけないのか。どうして自分には運が回ってこなかったのか。自分の胸には後悔ばかりが残っている。


まりはキラキラしている。まりが向日葵だったら自分は日陰に咲くたんぽぽ。同じ学校で同じクラスにいたのにこの違い。私は生き方を間違えたのだろうか。


彼女は相槌が打つのが上手くて、話し上手で聞き上手、ついでに賢くて、あとちょっとだけかわいい。最後のちょっとだけっていうのはただの僻み。本当はかわいい、すごく。


港はそんなまりが好きだ。いや正確には好きだった。


いつも港とまりが仲睦まじく帰っているところ、話しているところ、顔を見せ合って笑い合っているところ、そしてたまに照れているところを見ていた。その姿を見ていて、羨ましくもあったし憎くもあった。


だって前まで港の隣は私だったから。


入学したころから優秀で、顔はかっこよくないけど気前がいい。そんな港の事が気になってはいた。話しかけられたらいいなぁなんてドキドキしてたら、本当に話しかけられた。それから毎日あいさつを交わす仲になった。帰る時間が重なったときは二人きりで帰ったりもした。話をするのが楽しかった、ていうか居心地がよかった。とっても仲のいい男友達だった。


一年くらい経った後、港に告白された。私は港が自分の事を好きだと友人伝えで知っていた。だからいつかこの日が来るだろうと思っていた。思っていたし、知っていたけど、悲しかったし心が痛くなった。その時私は彼氏がいたから。港も知っていたはずだ。けれど私に告白したのは私を困らせたかったのではない。私と彼氏の仲が良いから自分の想いを伝える前に卒業するのは苦しかったからだ。


もちろん当時の私が悟れるわけはなく、私は港のその無神経さに腹を立てた。港は本気で謝ってくれた。その姿に、入学当初に気になっていたというのもあって負い目を感じて、少し後悔した。彼氏がいるのに。

そんなことを考えて悶悶する日々を送っていた。そのうち彼に悪いなと思うようになった。彼と話し合いをして別れることになった。別れてからも私のこころは遣り切れない思いでいっぱいだった。考えなんてまとまりもしなかった。


そうこうしている間に港には新しい好きな人が出来ていた。その子がまりだった。私はそれを知ったとき今までの自分の過ちがフラッ

シュバックされた思いだった。

キラキラしてかわいいと思っていただけだったまりに激しく憎悪の気持ちが湧いた。


そしてその時、自分は初めて港が好きだったことに気づいた。


後に残ったのは哀しみだった。


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たんぽぽ セナ @nnn_s

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