4-2
今のリラにできることは、これ以上なかった。
どんな
リラよりも何十倍も経験を積んだその医士ならば、もっとうまく対処できるだろう。
そう信じて、二人は山を下りた。
「大変だったようだな」
「ジシャ老士…」
すべてを見通した嘲るような笑みが迎え入れる。
「お人が悪いですね。分かっていて私を向かわせたのでしょう?でなければ、私なんかより老士が向かったほうが患者にとってはよっぽどよかった」
「それが奇病を専門にしている医術士の言葉か」
ジシャの言葉がリラの空っぽの心を通り抜けていく。
打てども響かぬその表情に、ジシャはつまらなさそうにため息を吐いた。
「まあいい、それで今回の旅程はこれで終わりだろう?早く帰るといい、可愛い妹の帰りを兄さんが今か今かと心待ちにしているだろうさ」
言葉の一つ一つがリラの中をすり抜けてどこかへと消えていく。
「ユノ君によろしくな」
その最後の言葉を聴いた時、リラの耳に自らの抱いた理想にヒビの入る音が届いた。
ビフレストハイムの魔女 杁山流 @iryama_rn
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