世界の中心

リーマン一号

世界の中心

こんなことを考えたことは無いだろうか・・・?


世界は全て自分を中心に回っていて、自分が世界に干渉することで初めて世界は形成される。


歴史上の事実も、世界地図も、1+1が2であることですら、あなたの為に作られた世界の真理で、あなたから見えない先の世界は存在しなく、あなたがそれを認識することで初めて作られる。


もっと言えばこの世界で人として生きているのはあなた只一人で、ほかの人間は須らく貴方の為に作られた人の形をした模造品。


そんな全能感と虚無感を入り交ぜたような妄想をしたことはないだろうか?


あなたはどうか知らないが、私は無い。


これははっきりと言える。


だって私は知っていたから。


誰が世界の中心で、この世界が誰の為にあって、私が誰のために存在しているのか。


私がその人に会ったのはほんの少しだけ前の話。


その人に会うまでの私はずっとその時を待ち望み、暗い闇の底で眠っていた。


ただ、眠っていたといっても何もしていなかったわけではない。


その人のために私が何をできるのか、どうすれば長く私と時間を共有してくれるのか、それだけを考え眠り続けてきた。


それこそ、自分の出番を舞台袖で待つ役者のように。


そして、ようやく時が来た。


スポットライトが私に灯り、私は懸命に舞う。


その人を決して飽きさせないように、その人に何度も会えるように。


それでも私の時間は決められている。


刻一刻と幕は下がり、私の舞台は終わりを迎える。


それでも私は信じている。


その人と再び会える日を。



・・・



あなたが再びこの小説を開く日を。

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