第3話
「やっぱりこうなるわよね・・・。」
ルイはため息をつく。
異世界転移は確率変動を起こし、ありえない事をおこす術。もちろんその反動でこういう事態に陥りやすい、と、知識では知っていた。
具体的には
美女が襲われる所に遭いやすくなる。
魔族に遭いやすくなる。
貴族に云々などなど。
これら異世界転移術の反動は、テンプレート現象とよばれ、時に強大な力を得ることもあるのだが・・・・。
「盗賊・・・だな。
などとのほほんと返す八咫丸。
八咫丸の戦力がいかほどまだ分からないが、盗賊はざっと20人はいるようだった。
異世界転移術発動前ならいざ知らず、ルイの魔力はまだ半分程度。
20人は若干多い。
「ごめんね、八咫丸。半分お願いできる?」
「半分で良いのか?・・・承知。俺の斬馬刀は射程が長い。戦ってる間は間合いに入るなよ?」
と不敵にわらうと、鞘の先を地面に突き刺し、2mはあろう刀身を身体を使って引き抜き、にやにやと明らかに見下している盗賊の集団に突っ込んでいく。
「烏丸流!
烏丸流剣術は斬馬刀、即ち2mを超す大太刀を振るう事に特化した剣術である。
鞘を固定しなければ抜刀できない代わりにその破壊力は高くーーー。
一振りで二人は薙ぎ倒し、回転止まぬまま竜巻の様に集団を蹴散らして行く。
そして20人は居たはずの盗賊は残り4人まで減らした。
「とと、ちょっとやり過ぎちまったな。」
頭をトントンと叩きながら、決めポーズ。
ぽかんとしていたのはルイである。
エドゥーの街でも1.2を争う天才魔術師のルイをもってしても、真正面から、短時間で10人以上を薙ぎ倒そうとしたら流石に一筋縄ではいかない。
ゾクゾクと鳥肌を立たせながら、すぐさま残り四人を捕らえようと呪文を紡ごうとするが、残る四人は一目散に逃げ出していた。
「アンタ・・・凄いわね・・・」
「いや、まだまださ。父上には手も足も出ないしな。だから江戸に強くなりに行くんだ」
ルイの賛辞に目をキラキラさせながら答える八咫丸。
「んで、ぶっ飛ばしたあいつらどうする?峰打ちだから・・・まぁ、骨は間違いなく砕けてるけど・・・殺しちゃいないぜ?」
ルイは更に身震いをした。
アレで手加減してたなんて!
「そうね・・・エドゥーまであと少しだし、ここに放置して、兵士に報告して捕まえてもらいましょう。ひょっとしたら金一封貰えるかもよ?」
渡り鴉の異世界珍道中 @amondemon
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