第2話

「いてて・・・。虚をつかれたとはいえこの俺がマトモに一撃くらうなんて・・・父上にバレたら切腹もんだ・・・」


ガンガンする頭を振りながら起き上がる八咫丸。


「ウソ!?殺す気でやったのに!!なんでぴんぴんしてんの?あんた何なのよ!」


「やいやい、お前こそ何もんだ!赤い髪!白い肌!!天狗か?天女か!?しかも俺から一本とるなんてどう考えてもタダモンじゃねーだろ!」


目の前には気絶する直前目にした赤髪の美女。

そしてーーー。

見覚えのない草原。


「あれ、たしか、おれ、山の中にいたような・・・?」


「ええ、まぁ・・・」

ごにょごにょと言い出しづらそうにする美女。

まさか、異世界転移術に巻き込みました!などといえず。

なんとか話を誤魔化す為に自己紹介を始める。


「だいたいアンタ、人をテングとかテンニョ?とか!!

私はルイ!れっきとした人間よ!」


その言葉に顔をサッと青くする八咫丸。

丸腰の人間、しかも女に有無を言わさず斬りかかったとなれば、どう考えても非があるのは八咫丸である。

後方に飛びながら空中で土下座の形をとり膝から着地すると。


「申し訳ない!!異形のものとはやとちりをし、斬りかかったのは俺の間違いだった!許してくれェ」


と半泣きになりながら謝る姿をみて、ルイと名乗った美女は呆れたように見る。


「うん、まぁなんもなかったからいいんだけどさ・・・・まぁ、好戦的な人種がいるって聞いてたのに私も油断してたし。」


などと尻すぼみに言葉を小さくしていく。

実は個人による異世界移動は御法度だ。

さらにその世界の人間を連れてくるなど、禁忌中の禁忌。

バレれれば10回は死刑に処されるほどの大罪。

いっそさっきの一撃で死んでくれれば良かったのに、と物騒なことを考える始末である。

許しを得てパッと身体をあげる八咫丸。


「有難い!俺は八咫丸!烏丸 八咫丸だ!で。ルイ。・・・江戸はどっちだ??」

「エドゥー?なんでアンタがエドゥーを知ってるの?」

「父上の命により江戸に修行に行くんだ!」

「あーー?」


ルイは考えた。

父親がこっちの世界の人間で、大きくなった我が子をエドゥーに向かわせた・・・?

そうよ。大体あんな場所に普通いる??しかも異世界転移に必要なものが全部揃ってるのはあの辺りじゃあそこだけ。

おまけに魔法都市エドゥーを知ってるなんて。どう考えても関係者じゃない!!

良かった!これならバレても死刑三回位で済むかも!!


「エドゥーならここから3日位のところよ。

いいわ、私が連れてってあげる。」

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