夢の世界

蒼井さくら

夢のつづき

まどろみの中で、音のなる方へときみは手を伸ばす。


その音を止め、時計を見て、一言。


「あと....5分.....」


そう言い残して、君は、夢のつづきへと旅立って行った。




空に向かって手を伸ばし、雲を掴みかけた途端、視界が変わった。


そこは水の中だった。


そのまま魚たちと一緒に光が届かなくなるくらい深くまで潜って行くと、見つけたのは白く光る玉。


「これってもしかして....」


空に浮かぶ雲は、海に落ちるとぎゅっと硬くなって輝きが増す。


君は、そう考えた。


白い玉を手に入れてウキウキした気持ちで浮上して行く君。


「ぷはぁ!!」


水面から顔を出すと、目の前には巨大な、なんだかよく分からない獣が居て、こちらをじっと見つめている。


迫り来る獣。


逃げたいのに体が思うように動かせない。


食べられる....!!!


そう思ったとき、無意識にあの白い玉を差し出していた。




と、耳に届くのは獣の唸り声ではなく、馴染みのある音。


君を現実へと引き戻す、アラーム音だった。



「ふぁ〜....あれ?なんの夢見てたんだっけ?」




この5分間は2度と戻って来ることはない。


その日、その時、人生でたった1度しか経験できない夢の中の5分間。


君は、今日どんな夢を見たのかな?


君は、明日どんな夢を見るのかな?


日々訪れる最初で最後の5分間。


忘れ去られる5分間。


でもいつか。きっと。これが思い出になる5分間になることを、願っているよ。




今日の5分間。


さようなら。

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夢の世界 蒼井さくら @akuariumu

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