魔女と少年

しろねこ

はじめまして、魔女さん

Prolog...

 とある村のはずれに魔女が住んでいる。

 その魔女は天災、病が流行する度に村に現れてはそれらを治めるという。

 これは、そんな魔女と、ある少年が紡ぎ出す、恋の物語である。


Episode1...

「おねーたん、なにしてるの?」

 魔女が村の飲食店の椅子に座っていると、幼い男の子が話しかけた。

 幼い男の子はどこからか摘んできた花を無言で魔女に差し出していた。

「おやおや、こいつは驚いた。魔女であるこの私を口説こうとしているのかい?よかろう。だが……、今のお前さんには早すぎる」

「ぇ……?」

「時間をやろう。10年後、お前さんに会いに来るからそれまでに大きくなりなさい」

 そう言って魔女はどこかへ行ってしまった。


Episode2...

 少年は、その日から10年、ご飯を食べ、鍛え、立派に成長した。

 まだ中学生だが、10年前よりは大きくなった。

 10年前のこの日、かの魔女と出会った店でお茶を飲んで待っていた。

 その時、店の入口にある鈴がリンリンと鳴った。

 入ってきたのは……魔女だ。

「おや、覚えていたのかい?10年前よりは大きく成長したようだが……まだまだだな。10年後、また会いに来るよ。それまでに私をアッと言わせる男になりなさい」

 そう言ってまたどこかへ行ってしまった。


Episode3...

 そして、10年が経った今、少年は25歳になった。

 今日も魔女と出会った店で待っていた。

 花束を持って。

 すると、店の鈴が鳴った。

 魔女は成長した少年を見て驚いたように声を出した。

「おや?おやおやおや……?」

 少年は驚く魔女に近づき、手を取った。

「お久しぶりです」

 挨拶をして手の甲に唇を重ねた。

 照れているのか、顔を赤くしている魔女にこう言った。

「子どもの頃、貴女に一目惚れしました。やっと、自己紹介ができますね」

――Fin――

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魔女と少年 しろねこ @haru-same

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