5話 妹の存在

「ねぇ奈々。」と俺は、奈々に声をかける。

すると奈々はこっちを向いて返してきた。

「何?どうしたの?」

「大学生のお兄さんのことだけど…」

「…。それがどうしたの?」

「いやー。家出をするほど、お兄さんと喧嘩をしたのかなぁって」

「…。」

奈々はしばらく黙ったままだった。

「あ!ごめん!きにさわった?」

俺は奈々に謝った。

彼女は俺が言ったことに、うなずいた。

そして…

「さとしー!奈々ちゃんー!ごはんですよー!」と下の階から母親の声が聞こえた。今、自分の父親もこの家にはいない。オーストラリアへ出張している。また奈々が来る前、俺には妹がいた。雪が降った日に産まれたという理由で名前をつけた「雪」という名前の子だった。しかし、妹はとある事件で殺されてしまった。まだ、幼い妹を俺は失った。奈々はその妹である「雪」に、似ていた。

「奈々ちゃん、おかず美味しいかなぁ?」と母親は奈々に聞いていた。

その日のおかずは「雪」が大好きであった、コロッケだった。

奈々は、母親に向かって笑顔で応えていた。

「美味しいです!私、コロッケが、大好きなんです!」

だか、俺は、コロッケが出る度に、妹の「雪」を思い出してしまう。

だから、食べずらかった。

あの事件すら起こらなければ、雪も今は中学2年生になっていて、俺の人生もこんなことにはならなかったはずだったのに…。

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俺の彼女は14歳のホームレスだった。 @しげお @shigeoo

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