天才と無才の中間ぐらいの強さで活躍するオレ

シャナルア

襲撃と平和

母は才能に恵まれすぎて、魔法、武術、自然科学などすべての道において、道を極めたと聞いた。

一方父はそのへんの農家の生まれで、読み書きもできず、腕っぷしはなく、村一番のでくのぼうと呼ばれていた。


その二人が結婚して生まれた息子は、二人の才能を足して2で割ったかのような凡才になってしまった。


母のつてで入った魔法学校では、期待された成績を残せず、そのまま嫌になってやめて、1年がたち、村で畑仕事する若者になっていた。


「まあのんびり暮らしていくのも悪くないさ」


そうぼやくいると、村民の一人が突然こう叫んだ。


「大変だー!!帝国が攻めてきたぞー!」


帝国の言葉が指し示す国は唯一つ、スゴスギ帝国である。

大陸の中でもひときわ大きな国で、軍隊も100万人規模の大軍勢を保有しているという話だ。

そしてこの村は帝国との国境付近にある。


「逃げる準備をしろ!すぐにこの村から逃げろ!」


慌てて村長が叫ぶ。しかし、もうすでに村の前に帝国の旗が見える。

その旗を掲げた一人の騎士が叫んだ。


「オレ様はスゴスギ帝国の軍団長、オサレ伯爵だ!」


しかし、オレ含め、村人みんなあることを思っていた。

そのことについて気になったバカAが話しかける。


「あのー軍団てどこすか?」


どう見たってやつ一人しかみえない。100万の軍団はどこだ?


「帝国に軍団なんてない!通常の兵の100万倍強いオレ様がいるだけだ!」


なんと帝国は一人しか軍人がいなかったのか!


「信じられんなら力を見せてやろう。フン!」


男の周囲から覇気が放たれ、そのプレッシャーに耐えられなくなった村人が次々と倒れてしまう。


「オレ様を止めたければ、オレ様よりすごいやつを連れてくるのだな!ガッハッハ!」


この村は、オレの大切な村だ。ここを守っていくと、両親に誓ったんだ!

意を決したオレはやつを睨みつけ、


「ならば、オレが相手になろう!」


宣戦布告をして、やつの前にでた。


「ほう、いきの良いのがい・・・なんだと!?」


やつは驚愕していた。自身の目が信じられないとばかりにオレを凝視していた。

そして口を開いた。


「なんて・・・なんてイケメンなんだ!」


そう、無能な父が母と結婚できた理由、それはあまりにもイケメンだったからだ!

そのイケメンは息子のオレに受け継がれていたのだ!


「オレの顔が気になるか?なら今すぐ引き下がり、二度と攻めてこないことを約束しろ!」

「くっ・・それは・・・」

「できんか?ならこれはどうだ?フン!」


オレはかっこいいポーズをすることで、周囲にイケメンオーラを放つ。

残っていた村人たちもすべて倒れてしまった。

そしてやつは


「ぐああああああああ!!!かっこいいーーー!!」


そう言って目をハートにして倒れ込んだ。

オレにベタぼれになった、オサレ伯爵はスゴスギ帝国をやめ、オレとともに村に暮らすことになった。


スゴスギ帝国はこの戦争で、全戦力を失い瓦解寸前だったが、

世の中が混乱することを憂いた母は、父をスゴスギ皇帝のもとに送り込み、

イケメンオーラで帝国をまとめ上げ、救ってしまったという。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

天才と無才の中間ぐらいの強さで活躍するオレ シャナルア @syanarua

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ