Twitterタグ反応をくださりありがとうございました。
冒頭、少々アウトローな主人公とギーグ丸出しな相棒、呼ばれる彼の二人の会話から始まりますが、読んでて思ったのは「小難しい単語を一気に出さない」ということでしょうか。
SF作品を書く際、どうしても世界観の説明などで大量の設定を記載してしまうような小説は多々ありますが(無論上手な人はそれでも読ませる文章を書きます)、この作品では軽い会話の中や、主人公である兎羽野の一人称から語られる情報はかみ砕いて、あるいは今必須ではないものはさらりと、なんとなく予想が付く程度の文章で流される。
非常に読みやすく、また主人公の小気味がよい台詞や所作は拒否感を感じさせません。
またサブキャラクターたちの個性も立っており、憎めないところも多くかなりお勧めできる一作です。
とにかく設定、世界観が作り込まれていて、それを自然に読み手がイメージできる表現力の高さ。
久々に震えました。
これは凄い。
自信をもって他者にオススメできる作品です。
ネタバレになるので内容については触れませんが、SFというジャンルをあまり読んでいない人にも是非読んでほしいです。
現実世界で生きると言うことの辛さ、苦しみに翻弄される登場人物達の心理描写もさることながらアクションシーンのスピード感、カッコよさ、どれも素晴らしいの一言。
褒め過ぎじゃないかと思うなら読んでみるべきです。
きっと、こりゃすげぇわ。ってなりますから(笑)
小説の概要を読むと、複雑そうな設定と電脳犯罪というSF要素が合わさって、一見読むのに労力が要りそうに見えますが、実際そんなことは全くありません。
場面の描写を中心に物語が進行していくので、まるで海外ドラマを見ているような気分で楽しめます。
よくある、つまらない説明の地の文が続いて……なんてことがないのです。
物語の進行・見せ方に凝っていて、何をいつ読者に説明するのかが実に完璧で、読者は自然と物語の深い世界観に入っていける事でしょう。
ps.個人的に主人公の男は西島秀俊氏のイメージです。クールな世界観と妻を殺された過去を持つ所が、どことなくドラマのモズの世界観と似ていて、すごく好きです。あくまで余談ですが。