百舌の月
安良巻祐介
不精して部屋のカレンダーをしばらく変えていなかったのだが、ある日ふと思い立って、日めくり式のそれを今日まで一枚ずついっぺんにめくっていったところ、最後の一枚を剥いてみて、今日が
アッと思って、慌てて自分の部屋に走って行ったが、もう遅かった。
屋根を着けてカーテンを引いた隠し棚はすっかり空っぽになっており、爪の跡に似た薄青いインクの染みが、棚のそれぞれの区画にくっきりと残されている。
リビングへ戻って窓を開けると、雲一つない澄み通った夜空を背景にして、ベランダの縁へ規則正しく溶接された、真新しい銀の円錐列。
その上に、一つずつ胸を串刺しにされた私の人形たちが、美しい月光を浴びていたのだった。
百舌の月 安良巻祐介 @aramaki88
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