第1章 主人公くんファイル:1 神宮寺 響也 第2話

中学時代、女の子不信になって話すのが苦手になったまま、僕は高校生になった。知ってる人がいないようなわざわざ遠くの高校を選んだ。それでも、また嫌がらせを受けるのかな?なんて言う気持ちが溢れて入学式は泣きそうになった。


入学式は特に特徴もない普通の式で、少し眠たくなってしまった。少し驚いたのは、校長先生の話があまり長くなかったのと、教頭先生の頭が、隠すつもりがあるのかと疑いたくなるような、作り物の髪だったことかな。


式が終わった後は、自分のクラスでの活動の時間だった。怖くてなるべく目立たないように、静かに教室に入った。配布物が渡されたり、改めて簡単に学校の説明などをして時間は過ぎていった。


自己紹介の時間になり、笑いを取りにいって滑る人。淡々と、自分の情報だけを伝える人など様々な人達がいたが、そんな事は気にしてられなかった。また、話すのが苦手と言ったら嫌がらせを受ける。そう考えた僕は、無駄なことは言わず、取り敢えず自分の名前と好きな事を言うだけにした。


でも、それでもやっぱりそれは起こった。突然の名前呼び、多量のスキンシップ、そして呼び出し告白――の裏のガッツポーズ隊、全てが高校でもあったんだ。それでも、中学時代より僕は気楽に過ごすことが出来た。その理由は、僕の高校生になってから出来た友達――「隅野 平人」のおかげだった。----------------------------------------------------------------------------------------------------


すまん。本当にいいとこで切ってすまん。でも出てこずにはいられんでしょう? だって、聞いた!?「隅野 平人のおかげだった。」って言ったよ主人公が。あの神宮寺くんが俺のこと友達って、そいつのおかげだって言ってくれたよ。そんな事思っててくれてたのか。いやー端役冥利につきますなぁ...


あ! 待て。読むのを辞めないでくれ。何かこのままだと、俺語れなくなりそうだから出てきちゃったんだって。今戻すから。落ち着いて。な?はいじゃあ戻りまーす。

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


初めて彼をちゃんと認識したのは、入学式から一週間ほど経ってからだった。いつものように僕は、嫌がらせを受けて気が滅入ってしまった。だから放課後の教室で少し休んでいた。


「よう。どうしたんだ?そんな死にそうな顔して。何かあったのか?」


そう僕に声をかけてくれたのが、平人だった。最初はあまり接点もなかったし、気が滅入っていたから話しかけて欲しくなくて、「なんでもない。」なんて素っ気ない返答をした。しまった、と思ったけど、それを訂正する気力は僕にはなかった。それ以上僕は言葉を発さなかった。そんな時、唐突に平人はこう言ったんだ。


「お前、嫌がらせでも受けてんのか?」


なんで分かるんだと思った。それが顔に出てたのか平人は「図星だな」と言ってきた。確かに図星だった。でも、僕は嘘をついた。「そんな事されてない」って。もし、彼に本当の事を伝え、それが広まったりしたら、さらに嫌がらせが酷くなると思ったから。明らかに突き放したような発言ばかりしてるのに、それなのに平人は僕に、----------------------------------------------------------------------------------------------------


「俺がそれ解決してやろうか?」


---------------------------------------- なんて言ってきた。それを聞いて僕は驚いた。何故、突き放してるのに、関わって来てくれるんだろうって。そして何より、平人が初めてだった。僕に手を差し伸べてくれたのは。中学時代の男子は気を使ってはくれたけど、それ以上はしてくれなかった。

でも平人は違った。ほぼ初対面なのに手を差し伸べてくれた。嬉しくて、本当に嬉しくて――しばらく泣くことしか出来なかった。


何分か、何十分かはわからないけど、かなり長い時間泣いてたと思う。その間、平人はずっと側にいてくれた。

取り敢えず泣き止んでから平人とちゃんと話そうと思った。嘘はつかず、本心で。


「解決?それは僕のことを助けてくれるってことでいいの?」


「まあ、そうなるな。」


「なんで僕のこと助けようと思ったの?」


「そりゃ、お前が主じ...苦しそうな顔してたからだよ。」


「あはは、そんなに顔に出てたかな?」


「おう。もうバリバリ出てたぜ。」


「そうなんだ...。優しいんだね平人は。」


「そうか?まあ、お前にそう思って貰えてるなら嬉しいね。」


平人と初めてちゃんと会話したけど、とても話しやすかった。まるで今までずっと側にいてくれてたような、僕のことを心から理解してくれてるような、そんな気がして話していてもなんの緊張もなかった。


平人なら――平人なら本当に僕のことを救ってくれる。そんな言葉が頭に浮かんできた。なんの根拠もないけど、不思議と信じられるような気がした。


「ねえ、隅野くん――でいいんだよね? 僕と友達になってくれないかな?」


「固いな。平人でいいよ。なってもいいぜ友達。これからよろしくな。」


「ああ、よろしくね!」


その日はこれからの期待と、新しくできた友達のおかげで久しぶりに軽い足取りで、笑顔で家に帰ることが出来た。それが僕の友達、「隅野平人」との出会いだった。-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


いいストーリーだった...。よう。不思議と信じられちゃう系端役の隅野平人だ。なかなか端役として活躍してるぜ俺...。

響也はいい感じで受け取ってくれてるが、俺が感がいい優しい奴な訳でも、みんなが薄情者な訳でもない。あいつが暗い顔してるのはみんな気付いてた。でも声をかけなかったのは、理由が分からなかったからだ。


そりゃ誰も女子にアプローチ受けて嫌な思いしてるなんて思うわけない。俺が気付くことができたのは、元主人公の経験と、端役としての感のおかげだな。みんなが響也の考えに気づかなかったおかげで、俺は友人キャラポジに入ることが出来た。そこはみんなに感謝だな。


さて、次からは皆さんお待ちかねのラブコメ要素が入ってくるようになるぜ。こいつの女子不信と、極度の勘違いがいい感じで影響して面白くなっていく、はずだ。多分、恐らく、Maybe、だけど...。(あんま覚えてないんだよ。)まあ、期待して気長に見守っていこうか。-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

縁の下の主人公〜主人公くんのために人生かけます〜 一般人haru @Ippanjinnharu615

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ