第1章 主人公くんファイル:1 神宮寺 響也 第1話
あの小っ恥ずかしい結果に終わった決意表明のあと、早速俺は端役としてのキャラクターを学ぶ事にした。俺の元主人公としての経験と、膨大な数のラノベ、これらを最大限駆使して学びまくった。
友達、がや、敵、それはもう様々な端役という端役の知識を詰め込んだ。
それにより俺はどんな端役にもなれるようになった。これで主人公を支える系端役としての土台ができた訳だが、----------------------------------------
「...と」
--------------------土台だけでは満足に端役を演じれない。だから俺はそれぞれを極めることにステージを移行した。
セリフなどは、状況に合わせ的確なセリフを迅速に言えるよに。そして、行動も、さりげなく主人公を手助け出来るように、自然さ----------------------------------------
「..らと!」
--------------------を上げ、しかし気づいて貰えるように。誰かの目に止まるように。そのいい塩梅を俺は突き詰めて行った。そして、全ての端役のキャラクターをほぼマスターした頃と同時に、俺は高校入学となった。
「なんてタイミングが良いんだ!」とか「これなら、すぐにでも主人公に会えそうだな」とか思ってたら、ほんとに会った。俺の実験台になりそうな主人公くんに。
「平人!!!! 」
「ちょっと待てよ!今、回想中だから! 」
「改装中ってなに?何を改装してるの? ゲームで家でも作ってるの?」
「その改装じゃねえよ! 」
主人公何だから、タイミングってもんを理解して欲しい。今俺に話しかけてきて、未だに「海藻?いや、階層かも?もしかしたら…怪僧!?でも中ってことは...」と カイソウ について必死に考えているのが主人公くん第一号の 神宮寺 響也だ。
もう既に名前が主人公である。この名前を聞いた瞬間、こいつは凄い主人公なのでは? と思った。名前だけじゃなくて、イケメンだし、勉強も、運動もできるし。もう主人公でしかないと思ったね。しかし一つ問題がある。見てくれた方が早いと思うから、彼のことを少し観察して見ようじゃないか。
「響也〜!会いに来たよ!」
「え、えーと...英華! お、おはよう!」
「響也っ! 今日の放課後一緒にカフェ行こうよ!」
「あ、その...」
「あら、それは聞き捨てならないわ。響也くんは放課後、私と一緒にショッピングに
行くのだから。そうでしょう? 響也くん?」
「りょ、綾子先輩ど、どうもです...」
「違います!響也先輩は私と一緒にランデブーなんですっ!」
「や、やあ椎名。あ、えーと、僕は...そうだ! 放課後は平人と階層の改装を海藻を食いながら怪僧のために、快爽にやるんだ! ね平人!それを確認しようと呼んでたのに反応してくれないんだから平人は〜」
ね平人! じゃないんだよ。平人は〜じゃないんだよ。乙女みたいになってんじゃねえか。なんだよ、「海藻を食いながら怪僧のために」って。しっかりしようぜ主人公よ... 。この短い会話だが充分伝わった事だろう。彼、神宮寺響也は、女子と上手く喋れないのだ。モテるくせに。
響也は女子と喋ろうとすると何故か頭が真っ白になってしまうらしい。モテるくせに。まあ、理由はあるのだが。取り敢えずそれは置いておこう。
先程の三人、同じ高校一年の鈴木英華(可愛い)、一つ上の先輩の蜂谷綾子先輩(可愛い)、なんでいるのかは知らんが、中学三年生の椎名凛(可愛い)と話す時はそれなりに話せるようなんだが、これだけラブコメ要素が強い空間の中で主人公が女子(可愛い)と喋れないなんて......。
しかし、ここで終わらせないのが、只今友人キャラ系端役である俺の役割である。会話ができないなら、できるようにすればいいじゃないかとういことで、ヒロイン達に、「もっと響也に絡めば治っていくんじゃね?そして治してくれたらその人に惚れちゃうんじゃねーかな?」と焚き付けてやった。突拍子もない案だが、あの三人は食いついた。あの時の三人の目はやばかった。獣だったもん。
こうして焚き付けた結果、毎日響也を誘いにあの三人は来るようになった。その介あってか響也もかなり話せるようにはなって来ている。
そう。かなり話せるようにはなってるんだ。なってるんだけど、ラブコメなのだから、もっと絡んで、ドキドキ、イチャイチャしてくれんだろうか?ラブコメで主人公とヒロインの絡みが少ないのは大変まずい。まずいというかそれはもはやラブコメじゃない。
このままだと、端役である俺の語りだけで物語が終わってしまう。それは嫌だろう?カ〇オくんがひたすら語るアンパ〇マンを君は見たいか?穴〇さんが語ってるサザ〇さんを見たいか? 是非見たい! という方はここで退場していただいて、二次創作で自分で作って見よう。
さて、残った方々は一緒に見ていこうか。何を?もちろんラブコメのストーリーだ。「なぜ彼が女子と話すのが苦手になったのか」が分かる、神宮寺 響也を主人公とする世界のストーリーのプロローグ。それじゃ、語りを響也に交代するとしよう。しばらくお別れだ。それじゃ響也の物語を楽しんでくれ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
「神宮寺 響也」それが僕の名前だ。勉強は出来る方だし、運動もそれなりに出来る。日常生活はそれなりに充実してると思う。でも、僕は――女の子に嫌われているらしい。何故嫌われてるかは分からない。でも断言できるんだ。嫌われてるって----------------------------------------
やあ、隅野平人だ。しばらくお別れって言ったのにすぐ出てきて申し訳ないな。分かってる。君たちの気持ちはよく分かる。こう言いたいんだろう?
「はぁ?嫌われてる?何言ってんのこいつ?」
分かる、その気持ちめっちゃよく分かるんだけど、ちょっと待ってくれ。読むのを辞めないでくれ。多分、今解説入るから。もうちょい待って。話すの苦手な理由に繋がるから。今響也に戻すから。そんじゃ、今度こそしばらくお別れだ。------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
僕が嫌われてると思いはじめたのは、中学に入った頃からだ。僕は、少し人と話すのが苦手だ。だから自己紹介の時「僕は人と話すのが苦手です。」って言ったんだ。
そうしたら、男子のみんなは気を使って、僕が緊張しないように聞き役に回ってくれたり、あまり話が長くならないように、自分だけ喋り続ける事がないようにしてくれた。そのおかげで男子とはそれなりに話せるようにはなったんだ。
でも、女の子は違ったんだ。初対面なのに、「響也くん!」って下の名前で呼んでくる人がいたし、妙にスキンシップが多い子もいた。中には、僕を呼び出して「好きです!」とだけ言って走り去る子もいた。
そして、こんなことがあると必ず影でガッツポーズをする子達がいたんだ。そこで僕は気付いた――僕は嫌われてるんだって。今までのは全部に嫌がらせだったんだって。そこからは、女の子が信じれなくなってどんどん話せなくなっていったんだ。
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どうだ? まあ、かなりの勘違いで鈍感だが、話すのが苦手になった理由は分かってくれただろう。勘違いなのだが。これが、神宮寺響也の物語のプロローグだ。これからは、本編に入っていくだろう。「隅野 平人」という友人キャラにも注目して神宮寺 響也の物語を見ていこうか―――――――――
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