端的ながら暗い雰囲気に、一気に引き込まれました。これは凄いと言わざるを得ません。暴力というにはあまりにも愛おしく、愛らしいというにはあまりにも残酷。その連鎖の先に、男は何を見るのか。そして、どうなるのか。短編とはいえ、本当に目が離せない、凄まじい作品でした。
それ以外書くことは野暮にも思えますが。音楽はかじった程度で恐縮ですが、ショパンの「別れの曲」を彷彿とさせるこちら。それはそれとして、命を奪われ、彼に殺されたことを「最大の愛情表現」ととらえる彼女の美しく歪んでいること。やれヤンデレだなんだと言われがちですが、ヤンデレなんて生ぬるい。歪みきったからこそ彼女は美しく、血まみれでもお化粧みたいに映えるのではないかなと、そんな夜の情景が脳裏に浮かびました。