第2話
僕が大学2年の夏だ。
蝉が鳴きアスファルトが焼ける炎天下の中
僕は人を待っていた。
首筋に伝う汗、じりじりと熱を纏う肌、こんな場所に1時間も人を立たせるとは良い度胸だ。後でどんな説教をしてやろうか。
などと普段の僕は考えるだろう。実際に説教だってすると思う。だが今日は違う。何故なら、好きな女性と映画を見るのだ。猛暑の中の1時間など、これからのことを加味すれば大したことはない。寧ろこれくらいしておかないと罰でも当たりそうだ。だとか考えて居ればあっという間に時は過ぎ、約束の時間から約2時間遅れてその女性は現れた。
「ごめん!」
へらっと笑って顔の前で手を合わせる仕草に僕はさらに惹かれた。
2時間も遅れておいてその行動は流石に如何なものかという意見もあるだろうが、ひとつだけ言えることは
男は皆、そういうものなのだ。
緊張のあまり映画が始まるまでの時間どんな事を話したかは覚えていない。だがそこに楽しいという感情があったのは確かだ。
楽しい時というものは瞬く間に流れて行くもので、少し値の張るレストランで食事を済ませた僕達は終電を気にする時間まで話していた。
そして帰り際に神妙な空気になったところで、恋愛についてはてんで無知で奥手な僕は雰囲気など御構い無しに、気づけば愛の告白なんてしたりしていて、それがどういう訳か相手に受け入れてもらい夏の暑さのせいか否か、僕に彼女が出来ることになったのだ。
これが僕の大学2年の夏。
失楽園 折葉カナ @lleoism
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