第5話

輸送機から朝鮮半島を見下ろすと、赤茶けた地肌はほとんど見えず、灰色の貝殻が瘡蓋状に埋め尽くしていた。動くものは何もない。イヤホン越しに聞こえるエンジン音と風を切る音だけ喧しい。

あれが腹を空かせた異星からの侵略者なのか。ぴくりとも動かない。勝手に死んでくれていたらありがたい。

その時、貝殻どもの縁が一斉にキラキラ光った。「綺麗なもんだ」という呟きが聞こえた。

私は不機嫌になった。あいつらがユーコを殺したのだ。能登半島の水際撃破作戦でヤツらは撤退した。だが、未知のウイルスを散々撒き散らした後だった。

ジョスは戦闘で死んだ。ずる賢いが悪い男ではなかった。

「先に行くぞ」というと、生臭い空気に乗り出した。目につく限り潰してやる。

しかし、待て。やつらは記憶と違う行動を取り始めた。回転しながら土に潜っているようだ。

「覚えてるのと、ちょっと違うぞ」と私は呟いた。

しかし、戦いの高揚がすべてを飲み込んでくれるはずだ。よく知っている。体と記憶に刻まれた感覚だ。


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ハイブリッド尖兵 北美平一 @yokohamamahoko

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