前田翠

手紙の内容はもっともっといっぱい書かれていた。

小学校の思い出から卒業式前日までどれも裕にとって私がいた思い出だった。

本当に大切にされていたと実感した。

だから私も裕に堂々と胸を張れるよう行きたいと思った。


それぞれが過去の思い出を話してから数年。

私は24歳になった。

彼氏はいない。好きな人は裕。

毎年命日にはお墓参りをして裕のお母さんと思い出話をして。

美玖と正樹は結婚して美玖は一児の母になった。

美玖はあれから動物ショップで働いて結婚して専業主婦に。時々赤ちゃんを見に行っては正樹の悪口を聞かされる。だから私も昔の裕の愚痴をいっぱい話していつしか思い出話になって正樹が帰ってくる。

正樹はずっと好きだった車の仕事を続けていて今では国家資格を持って自営業だそうだ。社長だねって答えたら「しもべいないな。」ってなぜか誇らしげに笑っていた。私は、看護師の資格を取って今も働いている。前の夢は裕のお嫁さんだったからおかげで一年留年したけど。でも後悔はしていない。

たまに裕のお母さんに看護師としてアドバイスなんかももらえるようになって

やっと後輩がついて先輩らしくなってきた。

もう過去には戻れないけれどみんなそれぞれ前を向いている。

時々裕の能力がうらやましくってへましたときは教えてほしいなんて思っては

いるけれど。

もし私が生きていなかったら、こんな素晴らしい未来は見られなかったのかもしれない。どこにも存在しなかったのかもしれない。

裕がいてくれたから、裕があの時気持ちを伝えてくれたから。

私を助けて守ってくれたから。


裕との日々、今ここにある未来と共に私は生きてゆける。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

生きる君に捧げる愛 胡蝶蘭 @kochou0ran

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ