早川裕

拝啓前田翠様

突然の出来事で驚いているでしょう。でも俺は突然じゃなかった。

生まれてすぐに未来を知って泣きました。翠と生涯共に生きたかったと

誕生日は一緒に過ごしてケーキをいつものように食べて。

休みの日は一緒にお昼寝してデートもたまにして。

成人式は一緒に写真を撮りたかった。結婚式の純白のドレスも見たかった。

和装もいいななんて。子供ができたらピクニックもして。

あと老後は年金生活で仲睦まじい夫婦で同じところで来世を誓って眠りたかった。

でもそんな未来は想像するだけで見えないものでした。

翠は俺が死んで今、泣いているでしょう?悲しんでるでしょう?

でも卒業式の前まで俺が泣いていました。悲しみました。

だって好きな人が死ぬんだもん。

そんな未来見たくなかった。生きていける自信もなかった。

だからその悲しみは翠に譲ります。ずっと俺を愛していてください。

でももし他に好きな人ができたら、俺をいい思い出にしてください。

忘れられるのは少し悲しいな。


またいつかどこかで未来で会いましょう。

その時は生涯を共にしてください。


敬具早川裕

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