ひとり
翠は家に帰ってすぐに手紙をテーブルに置いて泣いた。
ただひたすら無心に何も考えず。
裕がいなくなったこと。裕の過去。裕が死んだのは私の為だった事。
それだけではなかった。大切な人を自分のせいで失わせてしまった罪悪感。
手紙を見たらきっと自分は悪くないと思えてしまうと分かっていたからこそ翠は手紙を受け取るのをためらっていた。
それから何時間も泣いて日が暮れて親も心配していたけど泣き疲れて寝ていた翠は
着信で目を覚ました。正樹からだった。
「翠、悪い起こしたか?聞いてくれ、裕の奴、俺に手紙書いたと思えば一言だぜ?ありえなくないか?”またね”って。なあ、来世で会えるのかな。信じていいんだよな?…翠、俺は裕の事お前のせいじゃないと思ってる。翠は何も悪くない。ただそれだけ、じゃあな。」
一人でしゃべって通話は切れたが正樹なりのやさしさだった。
電話をいじると美玖からのメールもあって”今度おいしいごはん食べに行こう”とだけ書かれていた。翠は返信をしなかったがもう泣いてはいなかった。
手紙に手を触れ撫でた後、呼吸をして開けた。丁寧な字でびっしり書かれた手紙は
何枚も何枚も書いてあった。
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