第3話 死ぬとは?

200X年、某日。

佇んでいるこの感覚はいまだに忘れたりしない。

いや、忘れることは出来ない。


『御臨終です。残念です』


医師はそう一言告げて部屋から出て行った。


『...』


結局人間の命なんてこんなにあっけなく終わるのか。

そういう諦めた感覚が全身を駆け抜けた後。

人類がいまだ誰も感じたことが無いくらいの感覚が残留した。

殺意、失意、憎悪などの世間では避けられるべきものから

幸福、安堵、哀愁などのものまで。

それらが一人の少年の心の中でぐちゃぐちゃに混ざって行った。


その痛みとともに少年は青年になった。


20XX年春が来る前の月。


世界はどうしようもなく嫌いになるよな。

そんな理由がどんな愛着なものか?

分からないという単語で消された。


『神なんてどっかで首吊って死んだ』


そう不意に言葉が漏れた。


彼もまた同じようにこの青い空を見上げた。


【死ぬとはなんだろうか】


これは僕の体験記なのですが

かなり前に友人を失ったときです。

今の価値観を形成する出発点となったものです。

人間とはどこまで行ってもいつか死にます。

そういった確定した事実に虚無感を抱く本質的な感情ですね。

ニーチェのニヒリズムです。


辛いことや苦しいこともどうせ『僕』という存在であれば

付きまとわれるので気にしてもしょうがないです。

ただ、そこにフォーカスするのも人間です。

だから逃げることも重要です。

立ち向かって殺されるくらいなら逃げる方がマシです。




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僕は何のために生きているんだろう? 虚無の犠牲者 @philosophy_jp

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