過去の自分を取り戻しつつ、本当に大切なものを見つけた主人公

歳を重ねて行く中で様々なしがらみにより流されて生活している主人公が事件の調査をして行くうちに、自分の本質であるジャーナリストとしての魂を取り戻しながら本当に大切な事に気がつく…
私も含め普通の40代が抱えている悩み、葛藤、諦めといった現実が良く現れていました。
歳をとって行くにつれ家族、生活、お金、そして自分自身の幸福、それぞれが大きくなりすぎて身動きが取れなくなってくる中で『殺される』事で一旦全てを捨て新しい一歩を踏み出す。
行動としては非現実的ですが、思考としては現実的でもあるこの矛盾が『自分だったら…』と考えてしまい、いつの間にか物語に引き込まれ、あっという間に最後まで読んでいました。
今を考えている人にはうってつけの名作だと思います。

P.S.
個人的な思いではありますがスピンオフであれば、ダンゴムシかロイホの探偵社に入るまでの物語でも面白いと思います。
ダンゴムシならドイツ人の奥さんなど特徴があるし、ロイホが生きて行く中でネットワークのスペシャリストになった経緯などで面白い物語になると勝手に思ってます(笑)