第4話
少しずつ白み始めた朝の道路。冷たい風が頬を撫でる。
僕は自転車のペダルをゆっくりと漕ぎながら腕につけた時計に目を落とす。
青信号、車がほとんどいない大通りの交差点を渡る。
駐輪場に自転車を停めると、再度時間を見る。やばいやばい、ちょっと遅刻だ。
駅に向かい早足で歩いていくと遠くに佇む彼女の姿が見えた。
少し俯きながら立っている彼女の横を何人もの人達が通り過ぎていく。
僕はそのままのペースで彼女に近付いていく。
そして彼女の横を通り過ぎようとした時、パッとコートの裾を掴まれる。
むくれている彼女をなだめながら、僕が手を差し出すと、彼女も手を出す。
繋がった二人の手はぽかぽかと暖かい。
そして二人はゆっくりと歩いていく。
二人の物語 @yasu13
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