『灰とダイヤモンド(1)』について感想書いてく


(作品URL)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054882232702

(エピソードURL)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054882232702/episodes/1177354054883043897



 馴染みの友人の言葉を受けて、自分を深く省みる主人公のエピソード。

 とりわけ『失ってしまったもの』の重さが伝わってくるようだ。


最強ダイヤモンド・ドラゴンは見せかけにすぎなかった。零落した竜殺し達が彼女に求めた幻想に過ぎなかった。バカなさゆりは、それに乗せられて慢心した。

 その結果がこれだ。

 あでやかな日々を守りきれなかったのは、自分の力の至らなかったせいだ。

 なにが最強だ。その力も使いこなせないくせに。みのり《娘》にすら、遅れをとっているというのに。

 不遇を誰かのせいにしているから、さゆりはいつになっても前に進めなかった。みのりと出会った今なら、そう思い定めることができる。

 だからと言って、胸を占める憂いが、キレイに消えるわけではない。もっと具体的な実感がなければ、いつもでもさゆりは、今のままだろう。



 後悔、である。

 力に溺れた者の悔恨である。

 本作は主人公と娘の二本柱で進んでいくが、主人公にとって『娘』の存在がただの可愛い『我が子』で済まないのが面白いところ。

 越えられないもの、自らが失ったもの、もしかしたら手に入れていたかもしれないもの――そういった諸々の象徴が『娘』になっている。

 だから『娘』との関係をどのように構築していくかが、そのまま主人公の成長に繋がっていくようになっていると感じる。

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