MIMI!!

くさかみのる

第1話

 このまま朽ち果ててやろうかと思った。

 それほどまでの衝撃だったのだ。

 鏡に映る己の姿、頭部には見慣れる獣耳のようなモノが見え、ユズハは瞠目した。

 言葉が尽きたわけでもないのに出てこない。

 恐る恐ると触ってみると柔かく温かい。ぴぴぴと動いたりもする。どうやら神経が通っているようで、引っ張ると痛い。

 そんなトンデモな現実を寝起きで体験した絶望はいかほどか。

「くそ、どうしてこんなことに」

 こんな姿をさらすわけにはいかない。

「クサカには絶対に見られないようにしないと」

 『ぷっすー、ダッサ。なんだそれ!』など言われるに違いないのだから。

「とりあえず、隠れるべし」

 こぶしを握る。

 絶対に見つからないようにしなければ。

 せめてこの獣耳が消えるまでは。

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