無理やり勇者に仕立て上げられた少年と、魔族に捕えられ魔王と崇められるようになった少女が出会ったことにより始まる、元勇者と元魔王の正統派ファンタジー!
共に魔族の城から抜け出した二人は冒険を始めるのですが、元魔王の少女は序盤、ある理由によりモフモフ子狐の姿をしています。そしてその子狐の姿には問題があり、「くえ」「きゅ」「ぐええええ」のようにしか鳴くことができず、主人公と意思疎通ができないのです。加えて、読者にもその鳴き声の意味するところが正確にはわかりません。
――ですが! そこがとても可愛い!
普通であれば鳴き声は動物のままでも、主人公や読者にだけは言いたいことがわかるという設定の作品が多いでしょう。ですが、あえて読者にもわからない不自由さを残すことによって、本当のモフモフ子狐と接しているかのような効果を生んでいます。モフモフ好き、動物好きの方は一見の価値ありです!
中盤以降は少女と子狐の姿を使い分けることが可能になるので、子狐姿と触れ合う機会は減りますが、四章の後半では元魔王の少女がストーリーの大事なキーになっていることが判明するので、まだまだ可愛い子狐の登場シーンを見ることもできるでしょう。
文章はとてもしっかりとしていて、安心して読むことができます。あなたも可愛い子狐目当てに読み始めれば、あっという間に作品世界にのめり込んでいくことでしょう!
【第四章までの内容についてのレビューとなります】