第2話 小4、9月。

『夢宮はロボット』

そうなるのが、目に見えていた。


2学期、始業式。

夢宮らて、小4の10歳。

そくわんしょうでコルセットを付け始めてから、初めての学校。

ついでに初潮中だ。

コルセットは硬い。

それはもう、叩いて音するんだから当然だけど。


(男子辺りがロボットって言わないかな……)

当時の私は、給食当番とか、着替えがさらにめんどくさくなった体育すらどうでもよくて、それだけが心配だった。


宿題を出す時に接触する可能性は、充分にある。

なにせ、あんなに狭い机と机の間だ。接触しない方がおかしいだろう。



なんとか何にも言われずに1日目をやり遂げ、今は放課後。

保健室での話の最中だ。

これがまためんどうくさいことに、体育やプール等の着替えは1階にある保健室でしなければならないのだ。

4年では3階だったからまだ良かったものの、今・5年では4階。

1時間目に体育がある場合、着替えの為だけに往復するのはけっこうな重労働だ。

そして、その頃クラスメイトたちは、同じ階で着替えている……。


話し合いの結果、担任の先生が全員に公表することになった。

(終わったかも)

その時私は、からかいそうな男子数人と引いている女子を思い浮かべた。

こんなことになったら、残り2年7ヶ月の小学生活が真っ黒になりかねない。

……まぁ、すでにねずみ色だったんだけど。


週末が明け、ついに公表する日になった。

安定の副班状態も今日は終わり、教室へと足を運ぶ。


朝の会の先生のお話。

おそらく、公表は今だろう。


先生がこの話になった。




先生がなんて言ったのかは覚えていない。

でも、クラスメイトたちは、「えー」とも「へー」とも、勿論「ロボットじゃん」とも言わず、無言だった。

その後も、帰る時に

「夢宮さん、何でしてるん?」

しか言われなかった。



ただ、本当の試練は、今、これを書いている時さえ乗り越えていないことだった……。

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闇歴史。 夢宮らて @yumemiyarate1yumesizuku

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