儂もそろそろ異世界転生すべきかもしれない

M.JUGO

第1話 永遠の物書き志望老人

 町立図書館の郷土史コーナーで、ギャルママのノースリーブ姿にコーフン。

絵本を本棚から取るときに見える腋の下にコーフン。

 デニムヒップ、コーフン。


 なのに、連れている餓鬼が喧しく喚き始めて、館外に出てしまった。


 クソ餓鬼が。


 今じゃ三十路の娘にもあんなうるせえ餓鬼のころがあったなァ。


 それが今じゃ、


「永遠の物書き志望老人め!」


 儂にそんな罵言を浴びせるようになった。。。


 永遠の物書き志望老人……。


 娘に言われた一言は儂には当てはまらん。


 だって老人じゃないもん。

 最近の60代はまだまだ現役よ。


 儂って言ってる時点でジジイだろうが、との意見に耳は貸さない。なぜなら儂ンとこの在郷じゃ、男は30過ぎればみーんな一人称に儂を使い始めるんだもん。


 ずばり結婚した31歳以降、儂はずっと儂って言ってる。


 今63歳。

 定年後再雇用。

 娘1人、息子1人。女房1人。

 趣味・小説を書くこと、読むこと。

 

 夢・小説家になること。

 ずっと心の片隅に飼い続けている夢である。

 

 まだまだ63歳。

 気持ちは青年。

 ハッスルしてる。


 だから永遠の物書き志望老人なんかじゃないさ。


「文学青年崩れのお年寄り」なんかじゃないさ。


 まだまだ63歳。

 人生これからだ。

 

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