馬と仲良くなりたい
……実は、そういうタイトルにするつもりでした。
この作品は。
でも、書き始めようとして、即、改めました。
文面もね、少し強い言い切り口調で書こうと決めました。
私らしくないので、時々、文体変わっていますが……。
理由は、人に伝えるよりも強く、主張したい、影響を与えたい、と願ったからです。
私が乗馬を始めてから30年くらいがたち、乗馬の世界も変わったと思います。
どんどん新しい技術が導入され、人馬ともにレベルアップし、インストラクターの質も上がって行って、試練の道を歩むような教え方ではなく、本当に楽しく乗馬を習えるようにもなったな、と。
本当に昔は、馬よりも先生が怖くて、ビクビクしながら乗っていたものです。
落馬なんて当たり前で、ちゃんとできなかったら、下から鞭やら石やら飛んできたり……今では、絶対に大問題になるような指導もありました。
なんで? と思えば、やはり、その頃の時代は、軍馬に乗っていたり、農耕馬に乗っていたり……で、馬に乗ることが命かけることだったような人が先生だったり、そういう人に教わった人が先生だったりしたからだと思います。
その反動なのか、優しく指導……となってきている昨今、今度は、馬との交流を「リスクを避ける」ために、制限する動きもあるのかな? と思います。
今までは「ダメだ、そんなの!」と言えば、指導者が怖くてできなかったようなことを、やろうとしている人に不快感を与えないために指導できない。結果、人を馬から遠ざけることで、危険を回避している。
それは、真に馬と触れ合うこととは、かなり遠いと思うのです。
摂食制限をしているわけでもないのに、口籠をつけられている馬。
これでは、馬の鼻の柔らかさを感じることもできず、馬も唇でものを確認するのに……と思うのです。
手入れも馬装も引き馬も制限され、馬と共に遊ぶこともできない。ただ乗るだけで乗馬の楽しさを味わえるとは思えません。
人参さえ与えていれば、馬は幸せ、仲良くなれるんだ、と思い込んでいる人たち。もったいなすぎます。
多くの人が昔よりも気軽に乗馬に通えるようになったかも知れませんが、逆に、まるで馬がジェットコースターにでも乗るかのように扱われるのも、また、おかしいなぁ……と思うこの頃です。
馬はペットではない! とよく言われましたが、家畜でもない。これからはもっと大事に扱われてしかるべき動物だと思っています。
今はペットの世界も猫ブームで犬はおされているように思います。
その理由は、可愛いのもありますが、猫のほうが手がかからない、放置できる……という部分もあるようです。
犬は毎日の散歩が必要ですし、しつけも必要、育て方を間違えると、他人に迷惑をかけることもあります。だから、飼うには覚悟が必要です。
ましてや、馬は犬よりももっと手のかかる動物。馬と真剣に向き合おうとすれば、時間もお金もたくさんかかってしまいます。
遊園地の乗り物のように、乗るだけ楽しむことを追求してしまい、生身の馬と向き合おうとしない人が増えてしまったような?
馬という動物を理解する。
自分という人間を理解する。
馬の上でどうふるまうか、馬の下でどうふるまうか。
どういう環境に自分を置くか、どういう関係を馬と築くか。
私は、たいした乗り手でもなく、まぁ、普通なんですが、多分、かなり自分が夢見た馬との繋がりをもてているほうだと思います。
が、これは特別じゃなく、誰もが……もしかしたら、馬文化の進んだ海外では、当たり前の乗馬ライフかも知れません。
少なくても私にとって乗馬はスリルを味わうスポーツではなく、癒しのスポーツです。が、馬に癒されるようになるには、なんと時間がかかることか……。
私は、馬と仲良くなれずに落ち込んでしまい、もう二度と馬の顔を見たくなくなるような、そんな人を作りたくない。
その人が望むのであれば、私の幸せをわけてあげたい……そういう気持ちで、この文章を書いてきました。
馬と仲良くなりたい、と思う気持ち。
初心に帰れば、私はただ馬と仲良くなりたかった、そして、私のような運動音痴でビビりな、到底才能のなさそうな人間に、一番必要だったのは、まさにそれでした。
技量があるにはこしたことはありませんが、馬との絆は、間違いなく技量不足を補ってくれる。
安心して乗れる馬がいることは、間違いなく上達の道です。
=ひとまず終わり=
Le Ciel Bleu 〜逆転の乗馬ライフ わたなべ りえ @riehime
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