引退競走馬を引き取って世話する女性が綴るエッセイです。
若い頃から馬に憧れ、乗馬に馴れ親しんできたわたなべさん。しかし乗馬クラブの空気や競馬界の常識に馴染めず、劣等感を抱えながらも引退競走馬が幸せに生きる道を模索し続けています。
乗馬を虐待と批判されないためにどうするか、産業として持続していくためにどうするか、馬にストレスとなる調教もときには必要になる。インストラクターも、ライダーも、オーナーも、馬に関わる人々はそれぞれ一家言を持っている。自分とは相容れない主義主張ではあっても、立場や環境によっては正しくなることを「魂の色が違う」と表現しているのが印象的です。
「乗馬が苦手だった」と昔を振り返る彼女も、いまでは魂の波長が合う運命の馬と出会い幸せな日々を送っている。
馬にも個性があり、人との相性もある。引退馬を支援する人々がもっと増えれば、馬と魂の波長が合う人が見つかり、処分される馬も減るのだろうか。彼女の活動はYouTubeでも配信しているので興味のある方は検索してみてはいかでしょうか。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲 優詩)