第3話

不思議な出会い③


「外の、、看板。

ほんとですか???💦」


丸顔に、目鼻の細くスッキリした男子学生が、

店の扉を開けて入ってきたのは、、。

確か、一週間ばかり前の、夕暮れだった。


雨が降りそうな、薄暗い曇り空が広がっていた。


「求める願いを、お代とひきかえに、現実にご用意します、、って。

本当ですか???」


少しぽっちゃり体型で、インテリな顔をした彼は、

神妙な面持ちだったわね。


「彼女に、僕が話ができるきっかけをください。

、、彼女は、完璧すぎるんだ、、💦」


丸顔の彼は、遠い目をしてカウンターの淵に手を置いて話していた。


勉強も出来て、スポーツも出来て、、

美人で、優しくて、、笑顔で僕なんかにも、

分け隔てなく、毎朝挨拶をしてくれる。


彼女は、素晴らしく出来た人。

そんな彼女に、僕が釣り合う訳がない、、


だけど、、、

こんな僕でも、何か彼女との繋がりが欲しい、、。


出来たら、他のみんなは知らない、

僕だけが知ってる彼女の秘密とか、、。


そう考えていた彼は、彼女の弱みを知りたくやったのだという。



「、、僕は、見たいんです。

彼女の弱みというものを。


どんな小さな、、

それこそ、どうでも良い事でも良いのです。


僕だけが知る、彼女の弱みが欲しい。」


彼は、彼女の秘密を共有する事で、

特別な存在になりたかったらしいのだ。


※※※


っというわけで、、。


今回の、プ事件は、

彼の歪んだ願いを、叶えた故に起こった事だった。


秘密共有に、彼は目を細めて喜び、、、


そして彼女は。

彼が、自分を嫌いになった筈だと思い込み、

自分の大好きな気持ちを、お金に変えることで、

大切な「恋心」までも、なかった事にしてしまったのでした。





※※※


「お互い。

勇気を持って告白すれば、二人は直ぐに幸せになれたのにネェ〜。


人間て、、。

本当にお買得な生き物だねぇ???✨」


悪魔な店主は、にへへと、レジの中のお金をチラリと見ると、笑ったのでした。


「はぁぁー。

、、そんなんだから、あんたには彼女が居ないのよ。

彼からも。彼女からも、、他所様の恋路を吸い上げることで、お金にしてるんだから、、、」


黒猫は。深くため息をつくと、軽やかに艶のある細い尻尾を、ひらりとさせて店の奥へと姿を消した。


「二ヒヒ〜〜✨

どちらかでも、オイラのやらかしてる事に気付いて、


その大事な恋心✨返して〜〜って。

言いに来れたら、いつでも返してやるよ〜〜い✨」


、、コミュニケーション不足の恋人たちは、

出来ない相談だろうけどにぃ〜✨❤️

悪徳魔は、浅黒い顔をニハハ!と、愉快に笑うと言った。


「、、毎度あり〜〜✨❤️」


『チン♫✨』


、、跳ねるような、こ気味の良い音を立てて、

悪魔な店主はレジの引き出しを、閉めたのでした。

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あなたの願い、『叶えます屋』 ハッピー @minimag

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