5,スマホをとられたとき、探すべき場所

みなさんには、親にスマホをとられたって経験、あるだろうか?

今学生なうの人、この前まで学生だった人、我こそは永遠の15歳だ!って人でも可。

没収されたことがある人、いるのではないだろうか。


もちろん、私もある。当たり前じゃん!



こんなクズ+あんなうるさい母親=スマホぼっしゅー


一般公式だねこれ。

当てはまる例いくらでもあると思う。



まあそんなわけで私もよく没収されまーす。

一回どころじゃないよー。

諦めが悪いうえに学習しないからね、私。


前のほうの話読んだ人は覚えてるかもだけど、状況的に私の場合、寝落ちしたら即アウト。一発でバレる。


最初から布団の下に潜り込ませていじってそのまま寝落ちしたり、奇跡的に勝手に布団のしたにスマホが潜り込んでくれた場合は無事(どっちも経験あり)。



で、で、


この前も没収された。


あはっ笑


いや、笑えねーな。探さねーと。


次の日、スマホ隠されたんで、親いないタイミングで探しましたー


30秒で見つけましたー


・・・!?


30!?


自分で言うのもなんだけど、早くね?


凄っ、わたしって天才!(←バカっぽい)


この時探したのは、テレビ両脇の、備え付けの棚。

扉が透けているわけじゃないので中は見えない。

棚は壁に溶け込んでて目につかないし、前に物が置いてあったりして、普通開けようとは思わない。

中には、使わない裁縫道具とか3Dメガネとか。取り出す必要のないものしかない。


まあ、だからこそ開けてみたのだけど。


親の部屋、納戸、開けにくい引き出し。

そういうとこよりもまずあそこを探そうと思ったのは、なんか凄かった。





んで、次。

(当たり前のように次があること自体おかしい)

あのあと無事返されて(隠されてるのに使っていることがバレないように、ちょくちょくもとの場所に返していたので、勝手に使っていたことはバレずにすんだ)、そのあとだいぶ先のことだけど、また没収、隠された。


寝落ちじゃないよ?


ポッケにスマホいれっぱだったのを忘れて脱衣所に行ってしまったので、戻るのも面倒で、洗面台のあたりにスマホを置いてお風呂に入った。それだけ。


速攻で出るつもりだったから、浴室内には持ち込まなかった。

そして脱衣所で着替えて、そのままトイレに向かったとき、スマホを洗面台に置きっぱだった。


そこに母が来た。


もうなんというか、悲劇だよね。

それ以外に例えようがあるという方、是非とも教えて頂きたい。



お風呂の中でもスマホいじってたんじゃないのかというあらぬ疑惑をかけられ、真実を伝えるも信じてもらえず。取り上げられた。


たったそれだけで没収!? 

とお思いの方。

それが、うちの母親なのである。


お風呂の中でなんていじらないのに!

(三日にいっぺんくらいしか!)

その日はほんとに使ってなかったってのに・・・

こんな感じで、たいてい冤罪の場合99.9%の確率で有罪になってしまうのである。



まあ、過ぎたことをとやかく言ってもしょうがない!

前向きにいこう!



とか言うけどまあ、そういう私は後悔の塊みたいな奴だけどね。

後悔しかない。本当に。

(只今絶賛情緒不安定なので、いきなりですが暗い話に突入いたします)


どうしてあの時逃げたのか、言わなかったのか、聞かなかったのか。言ってしまったのか、見なかったのか、やらなかったのか。

言い出したらきりがない。


そういえば、見ざる聞かざる言わざるの猿たちのお守りストラップの効果がなかなか発揮されない。中学に入ってからつけたのでは遅かったのかもしれない。

いや…もしかしたら効果は出ているのかも。

つけていなかったら今頃私は破裂&破滅していた可能性はマジで否定しきれない。



まあ、お猿さんたちには感謝しておくとして。


スマホだスマホ。


さあて、次はどこ探そうかー

(探す気満々、当たり前)


前とは違う備え付け棚、は…

ああー違うかーまあそうだよな。

でも一応先に潰しておいたほうが安心だったからよしとする。


次…、じゃ、あそこは?

ダイニング机の横の壁近くに、何冊かの楽譜と五、六個の母のバックが積み重なって雪崩れ起こしてるとこ。ほこり被りかかってる。

そのバッグのうちの、なんか使ってないっぽい縦長のやつの中とか。前々回とかは、ありそうかなーとか思って探したけどなかったとこだけど…


……あったわ



うわマジか。また30秒だよ。

え、凄くね?

え、え、ピンポイントであったんだけど。


言っとくけど、大げさに話作ってはないからね?

ほんとはもっと探してるんだろとか、断じてないからね?


ほんと、よく見つけられたな。

早すぎてむしろ怖いわ。




・・・その後


隠されてるのに探し当てて勝手に使っていることがバレてしまい、どんな内容かは忘れたがなんかともかく長い説教をもらい、まーた隠された。


ちっ…なんという不覚っ!!

また後悔が増えた。


余計に刑期が増えた。

もとは冤罪だったのに。

なんなんだよ、もう。



また一時的脱獄のための穴探し。

同じ穴は使えない。埋められているだろうからね。



数分後。

ダイニング横のプリンター横の父の100均引き出しの奥底から出てきた。


もはや私は穴探しのプロかと思った。

私の家、一軒家で、相っ当散らかってるんだよ?原因の大半は小4の妹だけど。友達とか家にお呼びできるレベルまで綺麗にするのはほぼ不可能かと思われる。

その中でよく見つけられたなと思う。

今後AIに職業がとられていって大変なことに…とかいう世の中だから、新職業の自営業とかやってみようか。「スマホおよび何かしらの物を隠されたときのお助け窓口」。



冗談はおいておいて(本当にお困りごとがあればいつでもどうぞ?)、つかの間の休息を味わってこっそり半日ゲーム&LINEしていたら、突如ピンチが訪れた。


母親が、スマホの話をしようとし始めたのだ!


これは…まずい。

その流れで隠した場所からスマホを出そうとでもしたら、そこにスマホが現在ないことがバレてしまう…!


急いで隠さねば。

親の隙をついて。


父はまだ帰ってきていないから、敵は母ひとり。


トイレにでも行ってもらいたいところではあるが、こんな大事な話の最中に行くとは考えにくい。相当我慢していたわけでもなければ。


奇跡的に、本来の隠し場所の100均引き出しは、ダイニング横、正確には、私が勉強するときに使っている席の斜め後ろだ。

そしてそこは、台所の奥、冷蔵庫があるあたりからは死角になる。



話が進展する前に、なんとしても母親を冷蔵庫へ誘導せねば。



冷蔵庫…ならば簡単だ。


「お母さん、お茶ある?」


今机の上にお茶はない。

そして私は勉強中(してない)。

親は立っている。


親が口を開く。


「あるー?じゃないでしょ?」


うるせーな。


「…お茶下さい」

「はい」


よしっ、今だ!


敵は今、死角となる位置でこちらに背を向けている。

その瞬間に、極力音をたてず、もとの位置、二番目の引き出しの、箱の奥の紙の下に潜り込ませるように最短ルートでスライドし、さっと閉じる。


親がお茶を持ってくる。


大成功!!


これでしばらく私は死刑にならずにすむわけだ。



そう安堵したのもつかの間、父が帰ってきた。

第7回家族スマホ会議が始まる(勝手に命名した)。

これはスマホを買ってもらう交渉のときにも、前に没収された時にも開催された。


第7回目は眠かったからあまり覚えていない。

耳が痛くなるような話だった気はする。

結論は覚えている。



「勉強もあるし、とりあえず期末で成績よかったら返すってことで」


父も、まあ…と同意。


味方が敵になった瞬間だった。

洗脳でもされたのかと本当に真剣に心配した。

…いや、そうか、父は事の発端の冤罪を知らないから。

というかそれ以前に、その父の顔を見るに、単に疲れて眠いだけなんじゃないかと思う。


まさか、母はそのことを分かっててこのタイミングで会議をしたというのか!?

…あ、それはないな。そこまで頭の回る人間じゃないから。



だが、結論はもう出てしまった。


期末、きまつ、キマツ・・・


私の学校は二学期制で、一学期のキマツが九月下旬。

この日は八月上旬。


……は?








次の日早速新しい穴発掘の旅を開始した。

準備は万全。

音をたてず、慎重に。


特に親の部屋は念入りに調べた。

開く気配もない引き出し、ベッドの下・裏、案外開きやすい分かりやすい引き出しの奥底、クローゼットの隙間、山積みの荷物の中・下、空き箱の中、本棚の本の隙間。


意を決して、刑務所内なのになぜか存在する熱帯雨林(納戸)にだって足を踏み入れた。


掃除機、テニス道具、大量の紙袋、レジャーシート、使わなくなったおもちゃの山、箱、浮き輪、ガラクタ、クリスマスツリー、etc...


一歩間違えば、”物が溢れて見えない足元に埋もれて落ちている洗濯ばさみ”というピラニアにだって襲われるその地でも、何度も探索した。

たったひとつの小さな希望の穴を見つけるために。












だが、もう八月下旬。

未だに発見には至っていない。














お助け窓口アドバイザーの資格を得るには、まだまだ時間がかかりそうだ。













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山本悠里は反抗期 一ノ瀬りの @rin-skyblue

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