4,さよなら私のアカウント

これは私がスマホを手に入れる前のお話。





何もやることがなくて暇で。

ああ、ピアノはやらなきゃだったけど。


なんかゲームとかできたらなぁって思っていた時。


その時私はピアノの練習をしていた。

正確には、しているはずの時間。

ピアノの部屋で、メールで友達の由奈(仮)と会話していた。


もうほんと、いつか私、絶対バチが当たると思う。というかピアノの部屋にケータイ持ち込んでるなんて母にバレたら雷が落ちるだけじゃすまないだろうな。

つい最近(私がスマホを手にいれた後)、父にピアノの部屋にスマホ持ち込んだの見つかった時は、もはや何もつっこまれなかったけどね。



父に見つかったことはあるんかいとかいうことはさておき。

その時はガラケーだけじゃなくて、父のスマホも持ち込んでた。勝手に。


いや、あのですね。父は仕事がスマホ関係なのでスマホ何台も持っていて、全く使わなくなって忘れ去られたスマホもあって。

散らかり崩壊してるリビングの物たちに埋もれていた父のスマホをたまたま見つけて、こっそり持っていったのですよ。


んで、脱出ゲームとか入れて、やって、アンストして。とかやってたら、由奈がメールで、

「このゲーム面白いよ!」

とか言ってあるゲームアプリを勧めてきた。


全っ然暇じゃないけど暇だった私は、まあとりあえず即座に入れて、やってみた。


うん、面白かった。

めっちゃ面白かった。


というわけでハマりました。

夜も、布団に持ち込んで夜中までやっていたり。

酷い時は3、4時とかまで。

やりすぎましたね、はい、そこは反省しております……たぶん。



でも寝落ちしたのはとてもとても反省中です。

ほんと、何で寝落ちしたんだよ私!

寝落ちしたらどうなるか、分かってるのか!?



このときはまだ自分のスマホ手に入れる前だから、自分のスマホ布団持ち込んで寝落ちして没収される前だから。寝落ちの危険性を理解していなかった。






で、


寝落ちーー


スマホ手から落ちるーー


家族共用敷き布団の上にどどーんとスマホがー


母「なんでこんなとこにスマホあんのよ!」


イヤホンつけっぱだったのと画面消えてたのが唯一の救いだった。


寝ぼけ半泣きの私の言い訳

「お、音楽聞いてた…ぐすっ(嘘)」


機械音痴の母は、上下スワイプするだけの画面ロック(もはやロックじゃない)も開けられない。


それを見て上がりかける口角を必死で抑える私。


そこへ父が帰ってくる。


さすがにちょっと本気で泣きそうになる。


母の手から、機械得意すぎる以前にそのスマホの持ち主の父へスマホがお帰りになる。


母「お父さん、悠里にスマホ貸したの!?」


鬼の形相の母。


父「いや、貸してない」


びくびくする私。


母「絶対勝手に使えない場所にでも隠すか捨ててよ!」


父「いや、捨てるのはちょっと」


母「だいたいお父さんが常日頃から、布団で寝ながらスマホいじってるから真似するようになったんじゃないの!?」


etc.


……


びくびくしながら結局寝る。

(もともと寝落ちするくらい眠かったからね)





━━次の日━━


私が学校から帰ってくる。


例のスマホ探す。


見つけた。


……ロックがかかっている……だと……?


あの、9個の点を好きに選んで結ぶタイプのロック。


えー…無理ゲー…


といいつつ10通り以上試す。


無理だった。


由奈にご相談。


由奈「パターン一万通りくらいあるらしいよ」


マジすか。


由奈から、パターン全通り乗ってるサイトのURLが送られてくる。


由奈「まあ全部試す価値あると思うかどうかは悠里次第じゃない?」


そ、そうですね…


ちなみにそのゲーム、夜通しやってたこともあって、レベルは60越え、ガチャでも結構相当強いキャラ当てていた。


ロックが開きさえすれば、ゲームアカウントを由奈のスマホのFacebookだかTwitterだかと連携させてもらえば、自分のスマホ手に入れた時にアカウントが移せる。


うん、まあ価値ある…な!


そこで衝撃の事実に気づく。


私既に何回か試しちゃったけど、最初にまず父の指の皮脂のあとを見てたどればどうにか読みとれたのでは…!?


部屋の電気消して画面にライト当てて、皮脂のあとを見る。


あ"ーー!ごちゃごちゃしててもう読みとれない…


泣きたくなる。


こうなったらパターン、出来る限り試してやる!




━━数日後━━


つかれた…


もう、無理かも。


百何十通りかくらい試して、


力尽きた。


もともと全部を試すのは不可能だとは分かっていたけど、可能性高そうなパターンとかから順にやってるうちにいつか開くことを期待していた。


うん、無理でした。


どんなめんどくさいパターンにしたんだろう、うちの父は。そこはとても気になるところだ。





━━数週間後━━


さすがにゲームのアカウントのことは諦めかけていた。ん?完全には諦めきってはいないよ?


最後の望みは、自分のスマホ買ってもらった時に、アカウント移してもらうように父に頼み込むこと。


父には、あの寝落ちした日に父のスマホでゲームしていたことはバレたようなので。

もちろん母には告げ口してないっぽい。

いや、告げ口してたら私今ここにいないし?




で、


待ちに待ったその日。


スマホきたぁー!


では本題を…


と思ったら。


前も言ったあの音ゲー。

毎日10連無料だからやり始めておく?と言われたあの。


あれを入れるにあたって。


というか、建前としては、Googleとかのアカウント設定がめんどくさいから、先にアカウント作っておきたいということで。


父「悠里のスマホはまだ渡せない(母が、明後日になったら渡すからとか言うから)、とりあえずこのスマホに入れておくから」


そう言って父が取り出したのは。


あの、、寝落ちスマホだった!


お、これはもしかしてそのまま継続であのゲームができるのでは!?


いけちゃうのでは!?



とか期待したけど。


父「このスマホ古いしずっと使ってなかったしなあ。Googleアカウント悠里用に作り直ししなきゃいけないし、初期化するか」


!?!?


え、ちょ、ちょっ、


待て、父よ。


早まるなぁぁ!!!







━━イマニイタル━━


結局私は、自分のスマホに新しくそのゲームをインストールし、また一からやり始めました……














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