Episode4  純粋な夢は囚われそして終焉へ


「先輩たち、どこに言ったんだろうな」

「あれから連絡取れないよね、、、」

「なんかあったのかな」



ふわふわとした髪を揺らして黒髪の少年にすり寄っている少年は少し寂しそうにうつむいた。



「拓也先輩はえんざい?だったんだろ?」

「うん、海斗さんが助け出したんだったよね」

「郁哉せんぱいは確か自殺しようとした所を静也さんが助けてくれたんだよね」

「うん、だから生きてる」

「萌華せんぱいは?」

「翔さんが止めたんじゃなかったか?」



「ねぇとーや」



少女のような笑みで何か掴んだ、そんなような感じで微笑んだ。



「ん?」



「わからなくていいことに気づいちゃったなぁ」


「なんか、わかったのか?」


「この全ての事件、、いつも一緒にいるはずなのに偶然か必然か、、いつもその場にヒロ先輩がいないの」


「、、、、、確かに、、、いや、でも、、、そんなことって」





気の強い黒髪の少年冬夜に賢い女の子のように笑う智。



1番少年が望んでいた存在だった。

ニヤリと笑う。

賢く気高く元気で優しさもある。

それでいて裏切らないであろうその存在が気に入ったのだった。

どうやって閉じ込めておこうか。

優しい笑みを浮かべる少年は甘い毒を巻いた。

人が一番依存するのは自分が望むものを与えてくれるものである。

もう邪魔なんてさせるものか。

2人にとって都合のいい夢を見させて永遠に夢の中をさまよわせる。



毎晩。



2人の望む夢を。




これで完璧。

二人は夢の中を歩き続ける。

どこまでも自分の望む世界に酔いしれて。



これでもう一人になることはない。





完璧。

perfect。

これでもう大丈夫のはずだったのに。






なんで




どうしてよ






2人にどれだけ都合の良い夢を見せても

2人は何故か起きるのだ。








なんでと嘆く少年に2人の男女が笑いかける






「冬夜と智を夢に溺れさせるのは無理ですよ」


優しい笑みを浮かべて白衣を待とう青年は囁く。


「どれだけ夢を見せても2人は僕らがいる限り連れていかせない」


ケラケラと笑いながら青年の隣で少女は囁く。





彼らの元に帰るという意思がある限り

つまり彼らがいる限り少年たちを手に入れることは出来ないということだった。




あぁ





また失敗だ。







彼らに駆け寄って夢の中での作り上げられた笑みとは違う純粋な笑みを浮かべる少年たちを悲しげに見つめ『いいな』そっと呟いた少年はそっと姿をくらます。







あぁ







失敗ばかり









俺も









あの物語のように消えるのだろうか







「いや、嫌だっ!!!消えたくないよ!!!」


「助けて、よ、!!!誰かっ!」





赤い狂気の夢を見た少年も

青いバラのような音を夢見た少年も

緑の友愛を夢見た少女も

黄色の純粋な二人も






みんなみんないなくなってしまった





一人になった










「みんなは俺と違ったんだ

みんなには愛してくれる人がいた

俺は愛されていなかったんだ

俺に仲間なんていなかった

俺は独りだったんだ」









夢は
















ヒロと名乗ったその少年は一人泣き崩れる。


子供のように泣き喚いた。


ひとりにしないで、と



ごめんなさい、と









「俺がそばにいますよ」







ヒロの肩に手がおかれる。

それは望んでいた温かい温もりで。

泣き崩れたその顔で振り返る。

こぼれ落ちる涙を優しく拭いながら笑いかけてくる青年にしがみつく。





夢はわらった







よかった









強く気高く優しく、、望んだ存在が

現れたのだと。








これでもう一人ではないのだと。







「大丈夫だよ」

















「ヒロくんはもう独りじゃない」
























_____微睡みに溺れ暖かく眠れ夢よ








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夢の話 天崎 瀬奈 @amasigure

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